パート4】

コンサルタントがつまずく典型的なタイミングとは?

【無料公開】独立コンサルタントの成功戦略大全|法人市場で選ばれる20の実践レポート

コンサルタントを対象としたレポートではありますが、1人で活動する方に限らず、数名規模の税理士事務所や社労士事務所といった小規模士業事務所にも応用可能な内容となっています。

私は2005年ごろから、個人で活動する「ひとりコンサルタント」の人たちを継続的に調べ続けています。私の調査方法は、同じ人物を何年にもわたって一人ひとり追跡し、その変化や活動の実態を見極めていくというものです。

 
現在は、多くのコンサルタントがホームページやSNSを通じて情報発信しているため、その動向を調べるのは意外と容易になっています。さらに、私自身も本業として企業向けのコンサルティングを行いながら、『今すぐ改革』というサービスを通じてコンサルタントの指導をしていることから、現場で得られる気づきも少なくありません。
 
これまで数多くのコンサルタントを観察してきましたが、独立した経営コンサルタントがつまずくポイントは大きく分けて2つあると考えています。それは「立ち上げ時につまずく場合」「自分の企画へ転換する際につまずく場合」です。

まず、前者の「立ち上げ時につまずく場合」について説明します。

経営コンサルタントとして独立・起業した直後は、多くの人が強い意欲を持ち、ある程度の資金も準備しています。そのため、すぐにうまくいかなくても、簡単に諦めてしまうことはあまりありません。

しかし、コンサルティングは無形のサービスであり、案件の獲得は想像以上に難しいものです。実際に、立ち上げから1年経ってもコンサルティング案件の獲得どころか、問い合わせすら1件もない人がいます。

● 3~4年目に訪れる最大の壁

さらに、2年、3年と時間が経過しても同じ状況が続くケースもあります。そして丸3年が過ぎても最初の1件目の契約すら取れないとなると、さすがに「もうダメだ」と諦めてしまう人が少なくないのです。

このように、独立直後に諦める人は少ないものの、立ち上げてから3~4年が経過した段階で諦める人が多いのが実態です。では、なぜ3~4年目に入るとつまずいてしまうのでしょうか。私はその理由を大きく3つに整理しています。

● 立ち上げ時につまずく3つの主な理由

1つ目の理由は、コンサルタントとしての「理想の姿」と、そこへ到達するための戦略が曖昧なことです。独立してすぐに多少の仕事があれば、戦略がなくても当面は困りません。しかし、戦略が不明確なまま時間が経つと軸がブレ始め、「迷える子羊」のように方向性を見失ってしまいます。さらに「ああした方が良い」「こうした方が良い」といったさまざまな情報に振り回され、ますます迷走してしまうこともよくあります。

2つ目の理由は、商売経験がないまま起業し、集客に不慣れで失敗が続くことです。サラリーマン時代は会社の一員として仕事が用意されていました。つまり、会社の「看板」によって仕事をしていたにすぎません。しかし、独立後は顧客を自分の力で見つけなければなりません。その経験がないと、集客に苦労し続け、結果として仕事を得られない状態に陥ります。

3つ目の理由は、サラリーマンから独立した人が、いきなり「自分の企画」だけで稼ごうとすることです。先のパートで「他人の企画」と「自分の企画」について触れましたが、特に「自分の企画」で集客しようとする場合、苦労する人が圧倒的に多いのです。コンサルティングは無形のサービスであるため、価値を伝えること自体が難しいにもかかわらず、自分の企画一本でなんとかしようとするために失敗してしまうのです。

以上が「立ち上げ時のつまずき」についての説明です。

ただし、ここで言う「立ち上げ時」とは、独立直後ではなく、むしろ3~4年目を迎えた時期に諦めてしまう人が多い、ということを強調しておきたいと思います。

次に、後者の「自分の企画へ転換する際につまずく場合」について説明します。

コンサルタントとして独立して活動している人の中には、「他人の企画」に便乗した仕事だけで生計を立てているケースが多いのが実情です。

例えば、月曜・水曜・金曜日は地元のよろず支援拠点でコーディネーターを務め、残りの火曜・木曜日は創業支援センターなどの公的機関で相談員を担当する、といった働き方です。

また、中小企業診断士協会などの団体に所属していれば、特に自分から営業活動をしなくても、案件を回してもらえることがしばしばあります。

こうした環境にいる人の中には、やがて「自分の企画」で稼ぎたいと思うようになる人が少なくありません。「公的機関や補助金頼みではなく、民間案件を自力で取りたい」と考えるのです。

● 最大の問題は「仕事の獲得方法」における理解不足

背景にはこんな事情があります。例えば、「自分の謝金は1日2.5万円。しかしこのままでは年収どころか、売上すら1,000万円に届かない」といった不満です。そこに、「年収3,000万円!」「1億円プレイヤー」「億り人」などといった派手な情報が飛び込んでくると、「自分ももっと稼げるはずだ!」「俺も大きく稼ぎたい!」という欲が膨らんでいきます。そして「自分の企画」で高額案件を獲得しようと動き出すのですが、現実には思うように成果を出せないのです。

なぜでしょうか?

要因はいくつもありますが、最大の問題は「仕事の獲得方法」における理解不足です。つまり、「他人の企画」と「自分の企画」では、仕事の獲得の仕組みや難易度がまったく異なるという点を理解していないのです。繰り返しますが、この違いを正しく理解できていないことが、つまずきの本質だと私は考えています。

● 他人の企画は「資格と肩書」で採用される世界

例えば、中小企業診断士のケースを考えてみましょう。

診断士の中には、私の著書『40代以降に経営コンサルタントとして独立する: 「自分という商品」を売る起業家の集客と生き残り戦略 Kindle版』で説明した「公的機関常駐・依存型」や「補助・助成金依存型」で活動している人が大勢います。

よろず支援拠点や創業支援センターといった仕事に応募する場合、「中小企業診断士の資格を持っています」と明示するだけで採用されるケースが少なくありません。

もちろん資格があれば必ず採用されるわけではありませんが、一般の応募者に比べて有資格者の方が採用面接では有利です。

ここで注目すべき点は、「専門分野が抽象的でも問題にならない」ということです。つまり「中小企業診断士」という資格を提示したり、「マーケティング」「財務」「物流」など抽象度の高い分野を示すだけで、仕事を獲得できてしまうのです。

● 自分の企画は「集客」で勝負する世界

一方で「自分の企画」を展開する場合は、事情がまったく異なります。

「資格があります」「これもできます、あれもできます」という売り方では、なかなか集客できません。いわゆる「なんでも屋」的な打ち出し方は、多くの場合、見つけてもらいにくいのです。例外的に「地域密着型」や「コミュニティ型」では機能することがありますが、それは特殊なケースです。

では「自分の企画」では何が必要か?

ここで理解しておくべき重要な違いがあります。

「他人の企画」では「仕事を獲得する」という表現が適切ですが、「自分の企画」では「集客する」という表現に変わります

この違いは極めて大きいのです。

「他人の企画」では、自分が直接集客を担う必要はありません。集客をサポートすることはあっても、自分の力だけで顧客を呼び込む必要はなく、むしろ「その企画にふさわしい人物である」と示すことが重要になります。

しかし「自分の企画」では、前提として仕事は用意されていません。需要を喚起する仕組みを自ら作り、そこから集客につなげなければ仕事は発生しないのです。需要を生み出せなければ、当然「契約はゼロ」のままです。

● 集客できる存在になるために

だからこそ、ひとり社長の経営コンサルタントが自分を売り出すには、明確な工夫とマーケティング力が求められます。

経営者は「困ったな」「〇〇を解決したい」と感じたときに、外部の協力先を探します。そのとき、多数ある選択肢の中から選ばれるためには、明確な差別化が必要です。

多数の中に埋もれず、見知らぬ経営者からも選んでもらう。そのためには、「このテーマについては●●先生にお願いしたい」と言われるようなポジションを確立しなければなりません。

クソ真面目な人は商売が下手

事例から学ぶ集客の知恵

真面目な人はアカデミックな理論を本から学ぼうとします。

しかし、本当に集客につながるのは、現場での“ちょっとした工夫”でした。

事例に学ぶ12のアイデア、無料で公開中です。

「パート4」はいかがでしたか?

これまで何度も繰り返してきた通り、このレポートの目的は、あなたに「区別する力」を身に付けていただくことです。単に知識を得るだけでなく、より高い視座から自分自身を見つめ直していただきたいのです。

ただし、残念ながら「これさえやれば必ず成功する」という魔法の方法(打ち出の小槌)は存在しません。

大切なのは、自分のキャリアを丁寧に棚卸しし、どのような顧客層をターゲットにするのか、そして自分をどのように売り出していくのかを明確にすることです。

今の経営者には、公的機関が提供する安価なサービス、ランサーズのようなクラウドソーシング、ビザスクに代表されるスポットコンサル、さらにはAIの活用など、数多くの選択肢があります。そうした環境の中で、自分はどのポジションで価値を発揮し、どのように関わるのかをはっきりと定める必要があります。

このレポートでは、そのために必要な視点や情報を体系的に提供しています。