【特別レポート001】

年間売上10億円規模の中小企業向け

勝てる(新規)事業の戦略とマーケティング
~一刻も早く試行錯誤から抜け出して躍進する~

【パート4】
目標達成のカギは、体系的な戦略プランニングにあり その1)

このレポートの本丸であり、非常に重要な内容を解説するのがこのパート(ページ)からとなります。先に、ビジョンを達成するためには、戦略を明確化し実行する必要があることをお伝えしました。このページでは、戦略ストーリーを構築するために必要ないくつかのポイントについて解説します。

まず、ビジョンという目標を明確に掲げることが重要であると説明しました。また、ビジョンの実現に向けて、戦略経営の仕組みを上手く構築するためには、指標(メトリクス)を活用する必要があります。

ビジョンは変わるもの、再定義が必要かも?

さて、このページでは戦略ストーリーを描く際のポイントを説明します。まずは用語の確認をしましょう。

「理念」とは、法人が活動を行う上で根底となる考え方のことです。よく知られたものとして経営理念などがありますね。一方、「ビジョン」とは、法人が「理念」をベースに将来を描いた目標のことです。ビジョンという表現に馴染みがない人には、「あるべき姿」と表現した方がわかりやすいかもしれません。

理念は変わらぬものですが、ビジョンは変わるものです。もし「理念」が明確になっているにもかかわらず「ビジョン」がない場合は、まず「ビジョン」の策定を行いましょう。ビジョンが明確でなければ、自分たちが進むべき道が曖昧になりがちです。ビジョンがなければ、的確な決断を下すことが難しくなります。

ビジョンを明確にしたら、次はその実現に向けた戦略や計画が必要です。「現状」と「ありたい理想の姿」を埋めることになる「ビジョンの実現」までには大きなギャップがあるはずので、そのギャップを埋めていくための戦略や計画が不可欠です。これは、図に示した経営サイクルの通りになります。

計画することにより、どこまで前進しているか、どこまでビジョンに近づいているかを確認します。また、ビジョン実現までの道のりには大きな障害が立ちはだかっているので、何が障害であるかを特定することがポイントです。障害を認識し、それに邪魔されない方法を考え出しながら計画していくことになります。

非常に役立つ! 競合分析とは?

ところで、先に説明したように、自社事業の明確化や自社のポジションを確保することは重要ですが、狙うべきセグメントを見極め、顧客のニーズを満たす製品・サービスを持っていても、常に市場の中で競争していることを忘れてはいけません。

そのためには、競合分析を行うことが必要です。戦略キャンバスなどのツールを用いて、自社と競合他社の価値要素を比較し、競合環境を把握することが大切です。

 先に述べたように、ビジョンは変わることがあります。競合分析を通じて自社の強みや改善すべき点を見つけ、方向性を修正することもあるのです

戦略プロセス経営実践会のサービスでは、競合分析によって得られた情報をもとに戦略キャンバスを作成し、自社の戦略的ポジションを可視化することを行うことがあります。これによって、事業の方向性を再検討することになるかもしれません。戦略キャンバスは、現在および将来の戦略的なポジションを視覚的に表現する手法であり、価値要素を比較してビジュアル化します。下図を参考にしてください。

例えば、フィットネスクラブの価値要素には「料金」「快適性」「便利さ」などが考えられます。A社とB社という2つのフィットネスクラブを比較する場合、料金についてはA社が8点、B社が5点となり、便利さについてはA社が4点、B社が9点となることがあるでしょう。

こうした比較によって、それぞれの企業の「価値曲線」が作られます。一般的な戦略キャンバスでは、「Key Success FactorKSF)」と呼ばれる要因について、自社と競合他社を比較します。これは、先に説明したCSFCritical Success Factor)と同義語ですが、私はここではKSFではなく、敢えて「価値要素」という用語を用います。この価値要素の特定が、競合分析を行う上で必要なのです。

戦略キャンバスの分析を行うことで、自社と競合他社との差別化を図り、市場で勝つための戦略を決定することができます。具体的に何をすべきかを決める際にも、この分析は役立ちます。

以前はフィットネスクラブといえば、大型店が主流でしたが、2017年から2018年ごろから小型店や24時間営業の店が急増しました。この傾向は、「更衣室へ行って着替えるのが面倒だ」「スタッフからの声掛けは不要だ」「自分のペースで手軽にトレーニングができる」「スタジオやプールは必要ない」というニーズに応えるものです。価値要素をよく分析することによって、こうしたニーズを可視化することができるのです。

また、競合に関する情報を集める際は、「ウチの●●は、〇〇がスゴイんです」などという、その企業の価値提案を理解することが重要です。それらが競争要因となっているということに注目し、現在、自社がいる市場で競争要因となっている価値要素をよく見極めることが大切です。その結果、自社の市場について深く理解できるようになります。競合分析を行うことで、ビジョンを含め、事業の方向性まで変わってしまうことがあります。だからこそ、慎重に行うべきなのです

なお、競合分析は、市場の動向を把握し、自社の強みや改善点を見つけるうえで非常に重要な作業です。しかし、競合にとらわれすぎることは、自社のビジョンや事業の方向性を見失う原因にもなり得ます。

そのため、競合分析を行う際には、自社の強みや弱み、顧客ニーズや市場のトレンドを把握した上で、(競合他社との)比較を行うことが重要です。競合他社が提供する価値要素をよく理解し、自社が提供する独自の価値を明確にしておくことが必要なのです。

また、競合分析を行う際には、客観的な視点で行うことも大切です。競合他社が提供するサービスや製品に対して、自社の主観的な意見や感情にとらわれすぎないことが重要です。

競合分析は、自社のビジネスを成長させるために必要な作業ですが、常に自社のビジョンや戦略を見失わないようにすることも重要です。自社の独自性を保ちつつ、競合他社との差別化を図り、市場で勝ち続けるために、競合分析を適切に行うことが必要です。

戦略とは「絞りと集中」

「戦略キャンバス」の説明文の中にもある「戦略」という言葉について補足説明をいたします。 

「戦略」とは、ビジョンである目標を実現するための課題、すなわち戦略的な対策であり、ロジックを含みます。戦略については非常にわかりやすく説明した書籍があります。私、関口がかつて在籍したミスミでお世話になった三枝氏が2016年に出版した『ザ・会社改造 ~340人からグルーバル1万人企業へ~』という書籍です。

三枝氏は、戦略とは「戦場・敵」の動きを「俯瞰」し、自社の「強み弱み」を考慮しながら、「勝負のカギ」と「選択肢」を見極め、リスクバランスを取りつつ、所定の時間内で勝利を収めるためのロジックであると説明しています。そして、その戦略の「実行手順」を長期的なシナリオとして、組織内に示すものであると述べています。

また、優れた戦略には「絞り込みと集中」「シンプルな目標の提示」「ストーリー性」が求められると指摘しています。

戦略は「仮説」であり、市場からの反応をフィードバックしながら、継続的に改善していく必要があります。戦略プロセス経営実践会では、中小企業に対して、「戦略ストーリー(シナリオ)」の作成支援を行っています。ただし、中小企業には大企業向けの理論や手法は適用しにくいため、一定レベルの戦略仮説を作成し、市場に出して反応を確認しながら改善していく手法を提唱しています。

ブルー・オーシャン戦略

せっかくなので、戦略の説明をもう少し続けます。有名な経営戦略論の一つに「ブルー・オーシャン戦略」があります。この戦略は、自社が身を置く市場において他社や自社が提供するサービスを比較検討し、現在の市場とはまったく異なる価値観を提供する新製品や新サービスを開発する方法です。

つまり、現在市場にない新しい需要を創出し、競合と差別化することを目指します。この戦略の名前の由来は、まだ誰も存在しない自社しかいない場所である「ブルー・オーシャン」を確保することにあります。

日本ではQBハウスがブルー・オーシャン戦略の事例としてよく紹介されていました。この店は、従来の理髪店と異なり、髭剃りや洗髪など自分でもできる余計なサービスを省き、低価格サービスを実現しました。その後、1,000円カットの店が増え、ブルー・オーシャンと言える状態ではなくなりましたが、オペレーションの効率化や余計なサービスの削減によって1,000円カットを打ち出した1990年代後半から2000年頃まではまさにブルー・オーシャンでした。

なお、ブルー・オーシャン戦略には、新しい需要を創出するために、2つの方法があります。1つは全く新たな産業をスタートさせることです。例えば、インターネットを活用したオークションやマッチング(転職、婚活など)などがありますが、新しい産業を創出するのは非常に困難であり、可能性も低いです。

もう1つは、既存の市場で新しい需要を創出することです。これを実現するためには、顧客に向けた価値を変更する必要があります。例えば、女性専用の30分フィットネスで有名なカーブスや、動物を使わないシルク・ドゥ・ソレイユのサーカスなどは、レッド・オーシャンの中にブルー・オーシャンを創出しました。

QBハウスも、理髪店業界という既存の市場で、従来の理髪店にはなかった低価格サービスを提供することで、ブルー・オーシャンを創出しました。ただし、その後、1,000円カットの店が増え、市場が競合に溢れるようになったため、(QBハウスも)レッド・オーシャンの中に入ってしまいました。したがって、ブルー・オーシャン戦略については、競争が激しいレッド・オーシャンで生き残るために、新しい市場を見つけることが重要だと言えます。

【パート4】をお読みになって、いかがでしたか? 「情報を得るだけでは物足りない」または「自社に適した対策が分からない」とお感じになるかもしれません。

その場合は、ぜひ私が行う「オンライン相談・診断サービス」をご活用ください。

このサービスは無料で、毎月先着4社様にご提供しております。ご興味のある方は、お早めにお問い合わせください。

なお、詳細やお申し込み方法などの詳細については、以下のバナーをクリックしてご確認ください。

パソコン|モバイル
ページトップに戻る