このレポートの最大の目的は、「区別する力」「分ける能力」を身に付けていただくことです。
20のパート(ページ)で構成されています。
このレポートは独立コンサルタント向けと記載していますが、1人で活動する方だけでなく、1~8名規模の小さな事務所を経営されている税理士・社労士などの士業の方々にも役立つ内容を含んでいます。ぜひご活用ください。
例えば、顧問税理士の場合、これまでのように単なる記帳代行や決算申告といった作業だけでは差別化が難しく、生き残りが厳しくなっていきます。だからこそ、今後は、財務を踏まえた経営の助言や戦略的なコンサル領域に踏み込み、企業にとって欠かせない価値を提供することが求められていくでしょう。
こんにちは、戦略プロセス経営実践会の関口です。
早速ですが、特別レポート『独立コンサルタントの成功戦略大全|法人市場で選ばれる20の実践レポート』の「パート1」の内容を紹介します。
さて、アメリカでMBAを取得し、日本に帰国した私はGE(ゼネラル・エレクトリック)のキャピタル部門に就職したのですが、そこには朝から晩まで一緒に仕事をするコンサルタントが大勢いました。
私はブラックベルトという社内コンサルタントの役割を担い、シックスシグマというプロジェクトの旗振り役として仕事をしました。
また、GEにはCAS(Corporate Audit Staff)と呼ばれる、世界中のGEグループから選ばれた20代や30代の若きエリート集団と呼べる人たちが3~4カ月単位で世界各国のプロジェクトを渡り歩いていましたが、私はいつも彼らと一緒に仕事をしていました。
仕事でタイへ出張した際に、偶然にも日本のプロジェクトに参加してくれたCASの仲間と研修会場で再会したのですが、彼らとバンコクの路上でインド人のテーラーに声を掛け、宿泊先のホテルで採寸してもらいスーツを仕立ててもらったという面白い経験は今でもよく覚えています。
●不思議なコンサルタント?が多数いる
GE時代にはプロジェクトのリーダーとして外部のコンサルタントをリソースとして活用していましたが、その頃からコンサルタントという職業がやけに気になり始めていたのです。
後に、コンサルタントと名乗る人を目にする機会が増えた中で「えっ、こんな人がコンサルタントなの?」「これがコンサルタントの仕事なの?」などと思ったことは一度や二度ではありませんでした。
たまたま自身がアメリカでMBAを取得したこともあり、MBAの仲間やGEに常駐していた外資系コンサルティングファーム(KPMG社)のコンサルタントばかりを目にしていた当時の私は、近視眼的な見方をしていたのです。
多様化しているコンサルタントの一部しか見ていなかったのです。当時は、大手外資系に勤務するコンサルタントしか見ていなかったため、それなりに立派な大学を出た、学校の成績が良かった人がコンサルタントになると勝手に思い込んでいたのです。
しかし、それから実にさまざまなコンサルタントを見ることになり現実がわかってきました。例えば、高卒で一般企業の勤務経験すらないのに、立派に活躍して稼いでいるコンサルタントがいます。一方、大手企業で退職前に年収2,000万円を稼いでいたのに、独立後はコンサルタントとして(月ではなく)年に50万円すら売り上げることができないまま2年、3年と時間ばかりが経過していく人もいます。
特に、個人事業主向けコンサルティングの世界にはうさんくさいコンサルタントも大勢いることがわかりました。先に説明した外資系勤務のコンサルタントたちとは大きく異なります。
例えば、「年収1億円!」などとでっかい数字で期待感をむやみに刺激する人たちです。情報商材やFXや仮想通貨などの儲け話で人を集める輩と同じで、売り方の手口が狡猾なのです。「いかにその気にさせるか?」という点には非常に長けているのですが、ビジネスリテラシーは高くないのです。
●ガセネタを超高値で売った方が商売になる?
また、中にはとても面白いコンサルタントもいました。特に面白かったのは、手首をトントントンと叩いて夢をかなえてあげると主張する夢実現コンサルタント(?)と名乗っていた人です。
このように、名乗れば誰もが「コンサルタント」になれるのです。売り手側が「いかにその気にさせるか?」ということに長けていれば、手首をトントントンと叩かれることに大金を払うような面白い人(=買い手)が現れるのです。
「いかにその気にさせるか?」ということに長けていれば、ガセネタを高値で売ることも可能です。
私の著書(図を参照)で紹介している、ある「コンサルタントを名乗る人物」は、驚くほど巧妙なやり方で大金を稼いでいます。しかも、その手法については、「コンサルタントに指導してもらったが、8カ月経っても売上は伸びなかった」といった不満を持たれることがありません。
この人物のような稼ぎ方を知ったら、「真面目にコツコツ働くのが馬鹿らしい」と感じてしまう人が出てくるかもしれません。
その人物が扱っているテーマは、コロナ、健康、政治などに関する闇です。
一方、一流大学出身の素晴らしいキャリアを持っていても「いかにその気にさせるか?」、つまり説得力が弱い人の場合は、先に述べたように(月ではなく)年に50万円すら売り上げることができないまま2年、3年と時間が経過しかねないのです。
つまり、会社の看板を背負って仕事をしていた時は非常に優秀であっても、独立後にひとりのコンサルタントとして上手くいくかどうかは全く別の話なのです。
とにかく、私がここで主張したいことは、GEのような資金力の潤沢な会社に雇われるような外資系コンサルティングファームの社員たちは、多様化しているコンサルタントの一部にすぎないということ。
さて、実にさまざまなコンサルタントがいて、お伝えしたいことは山ほどあるのですが、このセクションではひとり社長の経営コンサルタントの稼ぎ方・働き方を見極める際に必要な大きな4つのポイントをお伝えします。
「今の自分を最大限に生かす」
そのためにもまずは4つのポイントについて、「自分ならどうするか?」と検討してみることです。
ポイントの1つ目は「他人の企画と自分の企画」の違いです。この世の中には「独立した」「開業した」と言いながら、他人の企画に便乗した働き方・稼ぎ方だけで生計を立てているコンサルタントが非常に多いのです。
これはヨソの人が用意した案件(他人の企画)に関わることです。あらかじめ仕事が用意されているところに入り込む、あるいは、別の人に仕事を用意してもらうというごく一般的な働き方・稼ぎ方となります。
一方の「自分の企画」とは、自ら企画して「この指とまれ」式で人を集める方法です。初めから仕事があるのではなく、潜在顧客に対して需要を喚起し、アクションを起こさせる方法となります。他人の企画に便乗する方法と明らかに異なり、自らが企画内容や料金の設定について主導権を握ることになります。
「他人の企画」と「自分の企画」、どちらにもメリットがある一方、デメリットもあります。前者はすでに仕事があるところに入っていくので、仕事の獲得という面では苦労が限定的ですが、主導権は自分にありません。一方、後者では高値の請求が可能となり、集客さえできれば大きく儲けることができます。しかし、自らの力で顧客を獲得しなければならない苦労が伴います。
例えば、30万円の仕事を1件獲得するために、20万円の費用が掛かるかもしれません。同様に、「出版するために500~700万円の投資をしたにも関わらず、案件の獲得にはつながらなかった」ということもよくあるのです。
ポイントの2つ目は、「1対1か1対N(多数)」かの違いです。これについては説明するまでもないと思います。一人(社)を対象にするのか、あるいは、同時に複数者(社)を対象にコンサルティング(情報提供?)を行うのかという違いです。
ネットで派手に宣伝している「高額塾」などはまさに、多数を対象にコンサルティングと称した合同研修を行うスタイルです。
ところで、よくわかっていない人は「1対多」の方が、参加者(社)が多いので楽に儲けることができるのではないかと思いがちです。でも、こちらは同じタイミングで複数人を集客しなければなりません。これは意外と大変です。
個人事業主を複数人集めてくることは決して難しいことではありませんが、ひとりコンサルタントの身分の者が一定以上の規模を誇る企業の経営者を単独で同時に何人も集めてくることはかなり大変です。
「1対多」は「1対1」よりも稼げます。「1対多」は、浅く広く顧客と関わることになる一方、「1対1」では少数と深く関わることになります。
大企業に大物政治家を紹介できるなど例外の人もありますが、一般的に(無名の)ひとりコンサルタントが、普通のコンサルティングを提供する限り、「億」の売上を作ることは「至難の業」です。
3つ目は、「法人か個人か」の違いです。いわゆる会社組織向けにコンサルティングを行うのか、あるいは、個人や個人事業主向けかの違いとなります。
客層が大きく異なるので、それぞれのアプローチはかなり異なります。
ちなみに、このレポートは会社組織向けにコンサルティングを行うコンサルタント向けに作成しました。
4つ目は、「公金ありか、公金なしか」の違いです。「公金あり」とは、例えばよろず支援拠点のコーディネーター、ものづくり補助金の申請書類の作成代行など、公金が投入された案件に関わることです。
事実、コンサルタントを名乗っているにも関わらず、収入に占める割合の殆どが「補助金申請に必要な書類作成の代行業務」という人は少なくありません。2020年から2023年までの間、コロナ騒動で事業再構築補助金など、さまざまな制度が出てきたお陰で、手数料でガッポリ稼いだ中小企業診断士もいました。
一方の「公金なし」とは、公金の投入が絡んでいないごく一般的な案件の仕事をすることです。
一般的に、「公金あり」の方が、仕事の獲得は容易です。低リスクと言えます。しかし、一部の例外を除き、1案件から稼げる金額(単価)が低めになりがちです。とはいえ、「大きく稼げないが、公金案件に依存している方が楽だ」と考える人は少なくないのです。
このレポートを読んでいけば、その理由もわかるようになるはずです。
他にもありますが、長くなるので説明はここまでとします。今後は仕事を見極める際に、このページでお伝えした4つのポイントをよく意識し、コンサルティングという仕事に対してより注意を払うことをおすすめします。
お役に立ちましたか?
上に書いた通り、「ビジネスリテラシー」が高くなくても、大きく稼いでいる人がいます。もっと正確に表現すると、ビジネスリテラシーが低くても、通用するやり方があり、それに合った顧客層が必ず存在するということ。
その典型例が「多くの人が信じていること(常識)」とは異なることを主張し、「その通りだ」と思ってくれる人たちを対象に商売する、いわゆるアテンション・エコノミーのやり方です。
詳しいことは、また後のパートで説明します。
ポイントは、「あれが足りない」「●●を勉強した方が良い」などと焦って、今の自分に何かを追加することではありません。余計なことに手を出すことでもありません。
「●●であなたも成功する」「実証済の〇〇を使えば、あなたも売れっ子になる」といった宣伝文句に飛びつくことでもありません。
必要なことは、「今の自分を最大限に生かす」ことです。
そのためには、どのような顧客を対象に、どのような方法で、どのようなことを行えば、今の自分を最大限に生かすことができるのか?
これを明確にすることが非常に重要です。
そのためには市場環境について理解しなければなりません。「敵を知る」ということです。その上で、自分については「どうすべきか?」と決めていくのです。そこでこのレポートを最大限に活用していただければ幸いです。
次回は「ひとりコンサルタントを取り巻く市場環境」が、2010年頃と比べていかに大きく変化したかについてお伝えします。