【経営コンサルタント006】 

2016年12月18日(日)

「経営コンサルタントを無料で活用する1」「経営コンサルタントを無料で活用する2」の中では公的支援機関の活用についてお知らせしました。公的支援機関には、商工会議所や〇〇経営支援協会など様々な法人があります。

それらの多くは、一部に自主事業がありますが、国や自治体からの費用で運営されています。また、国の支援制度には、「よろず支援拠点」や「ミラサポ」などがあります。これらはどれも、無料や格安料金でサービス提供してくれるありがたい制度です。

でも、「仕事を引き受けるコンサルタント側への支払い事情」など別の側面についても理解しておいた方が良いことを前回までにお伝えしました。

今回、お伝えしたい内容は、コンサルタントを依頼する側は「使い分け」、一方のコンサルタントには「棲み分け」が必要であるということです。

ところであなた自身は何度か転職活動をされたことがありますか?もしあれば、人材紹介会社を使いましたか?あるいは、ハローワークを利用しましたか?

 

人材紹介会社は、厚生労働大臣の許可を受けて職業を紹介する、民間の職業紹介業のことです。企業から「こういう人が欲しい!」と求人依頼を受ける一方、転職を希望する方から登録を受けた上で、求人企業へ紹介を行います。

人材紹介会社は、紹介した人材の採用が決まり入社した場合に、求人企業から手数料を徴収することでビジネスを成立させています。例えば、年収の3割が手数料という契約であれば、年収1,000万円の人を求人企業に紹介し、その人が入社すれば300万円が転がり込んできます。

また、人材紹介会社にはあらゆる職種・業種を網羅している「人材紹介のよろず屋」のような大手がある一方で、中堅・小規模には特定の分野(外資系、医療系、特定の専門職など)に特化した会社が多いようです。

 

一方、ハローワークは全国各地にあります。高校野球で参加高校数が最も少ない鳥取県にも9カ所あります。こちらは紹介した人材の採用が決まってもお金は一切発生しません。何回利用してもタダです。全てのサービスが公費で賄われています。

ハローワークは「猫も杓子も利用できる」ありがたい存在ですね。

 

「では一体、ハローワークを使えばタダで採用活動ができるのに、なぜ求人企業は人材紹介会社を利用するのでしょうか?」これにはちゃんと理由があります。

企業側は「使い分け」をしているはずです。少しでも資金に余裕のある会社であれば「パソコンを使って文章作成ができるパート事務員」の募集であればハローワークの利用でもOKですが、「年収1,000万円クラスの3550歳のマーケティング部長」の採用であれば人材紹介会社を利用するでしょう。

なぜなら、ハローワーク経由では「年収1,000万円クラスの3550歳のマーケティング部長」の候補となりうる人物からの応募は期待薄だからです。人材紹介とハローワークでは利用する顧客層が大きく異なります。

また、ハローワークを通じて求人票を掲載すると「猫も杓子も応募してくる」ので、問い合わせ対応などが何かと大変です。一方、人材紹介会社ルートであれば、先方に伝えた基準に合致した絞られた人物だけを紹介してくるので、自社の負担が軽減されます。

このように自社の案件毎に求める人物の水準などが異なるので、採用案件毎に採用手段の使い分けをするはずです。年収1,000万円クラスの採用案件をハローワークに期待するのは難しい一方、パソコンにデータ入力してもらう事務員の採用では人材紹介会社よりもハローワークを利用する方が良いでしょう。

 

実は、コンサルタントの活用についてもこれと同様のアプローチができるのではないかと思います。「使い分け」が必要ということです。だから、「無料で活用できる!」ということの裏側の事情も理解した上で、上手に公的支援機関と民間会社のコンサルタントを使い分けした方が良いはずです。

次に、コンサルタント側の視点から検討してみましょう。ポイントは(コンサルタントには)「棲み分けが必要である」「棲み分けを意識した方が良い」ということです。

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早速、説明しましょう。

例えば、「介護」は地元自治体や公的支援機関からの支援制度が非常に充実している業界です。このような業界では、公費が多く投入され、公的支援機関などが受け皿となり多様な研修プログラムや専門家派遣などの事業が展開されています。

このことはコンサルタントを使う側にとって非常にありがたいことです。なぜなら安価で様々なサービスが利用できるからです。

しかし、一方のコンサルタント側にとって、(介護のような業界は)自らコンサルタントとして仕事の獲得を試みても、入り込む隙(専門領域)が限定されてしまいがちです。なぜなら、そこは公的支援機関のサービスがかなり充実している領域だからです。

おまけに、ターゲットとなる顧客層(介護サービス事業者)が公的支援機関から提供される単価の安いサービスに使い慣れているので、何かとその料金基準をベースに比較検討してきます。当然ながら高めの単価設定が非常に難しくなるという問題に直面します。

 

つまり、公的支援機関のサービスに恵まれている業界(分野)では、競争上、コンサルタントの活躍の場が狭くなることを意味します。支援機関主催の研修講師など単価の高くない単発の仕事案件こそ獲得しやすくなりますが、一人前のコンサルタントとしてそれなりの料金が取れる領域が限定されてしまいます。

さらに追加すると、公的支援機関が手を出していない「ニーズはあるのに手つかずのニッチ領域」から需要を喚起させることができない限り、(研修講師の類の仕事口はあっても)コンサルタントとして仕事をするには大苦戦するマーケット(市場)であるということを意味します。

もっと正確に表現すると、公的支援機関の役割をよく理解した上で、彼らと上手に棲み分けして独自の領域(専門分野)を見い出さない限り、仮に今は仕事があっても後に食えなくなるリスクが高いということです。

無料、あるいは格安ということは、その裏側も理解した上でコンサルタントを活用すべきですね?次のコラムはこちらから!

まさにこれが「棲み分けが必要である」「棲み分けを意識した方が良い」という意味です。コンサルタントにとって公的支援機関という存在は仕事をいただける貴重な「協力者」ですが、同時に仕事を奪う「競合」でもあるのです。

企業は常に「自分(自社)が戦っているゲームでは今、何が起きているのか?」を理解しなければなりませんが、1人で事業をやっているコンサルタントも「自社が戦っているゲーム」の理解が不可欠です。

1.関口のつぶやき、感じたこと(生産性向上など)