このレポートは独立したコンサルタントを想定していますが、実際には税理士・社労士など少人数で活動されている士業の事務所にも幅広く役立つ内容を盛り込んでいます。
(1)個人の経営コンサルタントとして避けるべきで、手を出さない方が良い仕事はありますか? 顧客の選び方に関して、何か注意すべき案件はありますか?
●1.補助金の獲得を前提としたコンサル依頼
まず1つ目は、クライアント企業が「地元の自治体から補助金を受け取ること」を前提に、あなたに依頼してくるケースです。
都道府県や市町村には、30万円や50万円を上限に「経営指導費」といった名目でコンサルティング費用の一部を補助する制度があります。
この制度を利用しようとする企業は、役所に提出する書類をいろいろ準備しなければなりません。補助金関連の仕事は、とにかく書類作成が煩雑で、細かな規定に従う必要があり、事務処理に追われることもあります。
私自身、過去に「すでに提出した見積書や請求書の表現を修正して欲しい」と繰り返し求められ、結果として4〜5回も同じ書類を書き直した経験があります。さらに、契約する前提で準備を進めていた案件が、後になって補助金の獲得ができないことが判明した結果、締結の直前になって破棄されてしまったこともありました。
要するに、補助金に依存している企業は「補助金ありき」で動いており、サービスそのものに十分な対価を払う意識が乏しいことが多々あるのです。
しかも、こうした企業は、公的機関が提供する低価格のサービスに慣れており、タダ同然の支援に依存していることが多いため、まともな報酬を期待するのが難しいのです。
●2.プロポーザル(公募コンペ)案件
もう1つは、プロポーザル案件への参加です。プロポーザルとは、公募に対して複数社が提案書を提出し、競争で受注先を決める仕組みのことです。
もし「依頼(契約)することがほぼ決まっており、具体的な進め方を示した提案書を提出して欲しい」という依頼があった上で、提出するのであれば問題ありません。しかし、他社との競争を前提としたプロポーザルは、あなたのノウハウ(無形サービス)をタダで提供するだけとなりがちです。貴重な知見を無料で差し出し、選ばれるのは結局のところ「大手コンサル会社やシンクタンク」という構図がほとんどです。
「出来レース」ということもよくあります。独立コンサルタントのような零細事業者は、表面上の応募者数を増やすための当て馬として扱われてしまうのです。
ここで注意すべき重要な点があります。発注元は「戦略や計画といったことに関するノウハウ」ではなく、「〇〇システムを作り込む」「作業を代行する」といった実務そのものに価値を見いだしていることです。その結果、ノウハウなどの「無形サービス」は軽視される一方で、実行する体制や人員数といった要素が評価対象となるのです。
独立コンサルタントの会社には「1人しかいない」ので、審査会(面談)の場において、審査委員の一人から「あなたが、もし病気になったらどうするの?」などと不安視されてしまい、選ばれることはほぼありません。
● 本質的な問題
繰り返しますが、補助金依存の案件やプロポーザル案件は、そもそも独立コンサルタントの活用を想定して企画されていません。大手企業や地元の有力企業に依頼することを前提に作られた企画なので、個人事業者が参入しても徒労に終わる可能性が高いのです。
何よりも、これらの事例が示す本質は「売り手と買い手の間で、無形サービスの価値に対する認識に大きなギャップがある」ということです。
コンサルタントが「課金の対象と考えている知見やノウハウ」は、依頼元から見れば「タダで当然」と考えられてしまうのです。この認識の差が、独立コンサルタントを苦しめる最大の要因の一つになります。
● 最後に
日本においては「無形のサービス」に対して価値を見いださない人が少なくありません。依頼元が「タダで当然」と思っているにも関わらず、高値で課金しようとすれば、いくら頑張っても空回りします。
これが経営コンサルティングの難しさであり、案件を選ぶ際に特に注意すべき点です。
(2)「ポイントは市場の隙を見つけ出し、そこでご自身の強みを発揮すること」という点についてもう少し具体的に。あわせて、関口がおすすめする複数の「業界・業種×テーマ」展開についても教えてください。
まず、ご自身が「提供できる価値」をよく理解した上で、ある程度のレベルまでターゲット市場を絞り込み、さらにセグメント化することを強くおすすめします。そうすることで、
を具体的に検討できます。
ここで非常に重要なのが、「誰が本当の顧客になるのか」という視点です。
顧客によって評価の基準はまったく異なります。ある顧客は、あなた自身が“強み”だと考える要素――例えば社歴や資格の有無など――を高く評価してくれるかもしれません。しかし別の顧客は、「そんなことは重要ではない」と切り捨てることもあります。
よくあるのが、「私は〇〇の資格を持っています」と資格保有をアピールするケースです。あるいは、「〇〇社にいました」と過去に在籍していた企業が超大手であることを自慢げに主張する人です。
しかし、中小企業経営者の多くが求めているのはそんなことではなく、「実際の現場でどんな修羅場をくぐり抜けてきたか」や「自社と似た規模・環境で実際に成果を上げた経験があるか」といったリアリティのある実績であることが多いです。
つまり、資格や経歴のような「自分が考える強み」を一方的に強調するのではなく、「どの顧客層(セグメント)なら自分を高く評価してくれるのか」をよく理解しておくことが不可欠なのです。
要するに、「誰に売るべきか」「その人は提供するサービスから得られる何に価値を見いだすのか」を自分の言葉で説明できる状態にする、ということです。
● 「市場の隙」を見つけるための着眼点
参考までにお知らせしますが、セグメント化の切り口は、次の視点で考えると抜け漏れが減ります。
こらの視点で「競合が弱く」「顧客の痛みが深く」「意思決定者に届きやすい」交点を探すと、“隙”が見えやすくなります。あなたの強み(専門知、経験、ネットワーク、制作・実装力)が効く交点を優先してください。
● どの順番で着手するか(“勝てる順”の設計)
この3レーンで走らせると、売上の谷を埋めつつ、中期の柱を立ち上げやすくなります。
● 私のサービスでやること(実務寄り)
私は、1対1社の対面コンサル『今すぐ改革』を提供しています。本サービスでは、ここまで述べたアプローチを一緒に手を動かして具体化します。
「どれと、どれを、どう組み合わせるべきか」「まずはどこから何を始めるか」――こうした実践的な意思決定を、あなたと徹底的に考え抜くのが本サービスの役割です。
お役に立ちましたか?
「市場のどこに隙があるのか?」
「どこであれば、ご自身の強みを活かすことができるか?」
「どういう顧客層(セグメント)なら、あなたを高く評価してくれるか?」
こうした点を明確にしたうえで、戦略を立て、具体的な準備を進めていくことが大切です。
私が提供している「1対1形式」のコンサルティングでは、まさにこうした視点をもとに、徹底したディスカッションを行います。あらゆる可能性や選択肢を一緒に検討し、その中からあなたにとって最適な方法を決めていくことができます。
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