パート10】

独立コンサルのよくある疑問(QAセッション2)

【無料公開】独立コンサルタントの成功戦略大全|法人市場で選ばれる20の実践レポート

このレポートは独立コンサルタント向けと記載していますが、1人で活動する方だけでなく、18名規模の小さな事務所を経営されている税理士・社労士などの士業の方々にも役立つ内容を含んでいます。ぜひご活用ください。

このパートはQAセッションの続き(QAセッション2)になります。3つのQAを紹介します。

Question1

(1)住んでいる地域の違いによって有利なやり方、あるいは不利なやり方はありますか? 少し具体的に教えてくれませんか?

(1)はい、住んでいる地域によって、有利な戦略と不利な戦略が確かに存在します。

例えば、あなたが青森県弘前市に住んでいるとしましょう。弘前市の企業が月額30万円でコンサルティングを依頼する場合、東京在住のコンサルタントが新幹線で新青森駅まで移動し、訪問してくるケースは十分に考えられます。

移動に時間をかけても採算が取れるからです。しかし、月4万円の案件だったらどうでしょうか。

一方で、東京都新宿区のケースを考えてみましょう。ここではたとえ4万円程度の案件であっても、東京都内はもちろん、神奈川・埼玉・千葉といった周辺エリアからも多くのコンサルタントが参入してきます。

新宿区は交通アクセスが良く、1時間前後で移動できるため、競争相手が非常に多くなりがちです。

●「都市部のコンサル」と「地方のコンサル」

弘前市のような地方では競争相手が限定される一方、都市部では競争が激化します。地方在住のコンサルタントにとっては、地元に根差すことで優位性を確保しやすい特徴があります。

例えば、商工会議所主催の事業や地域イベントに積極的に参加すれば、地元企業との接点を増やし、案件につなげることが可能です。

ただし注意すべきは、弘前市のような地域で有利なコンサルタントであっても、全国規模で競争するとその優位性は薄れる点です。遠方企業を訪問する際には、東京や大阪のコンサルタントと比べ、移動コストや時間の負担が大きくなり、不利になります。

● 地理的制約と案件規模

近年はオンラインによるコンサルティングが普及し、従来の「地理的な制約」は大きく変わりつつあります。今や「距離」よりも「課題への理解や解決策の適合度」が重視される時代です。依頼主が評価するのは「近いかどうか」ではなく「自社の問題を解決してくれるかどうか」です。

もっとも、案件の金額によっては地域差は依然として残ります。単発の4万円案件を例にとると、東京から弘前市まで移動して対応するケースはほとんどありません。移動の時間を考えれば効率が悪いためです。しかし、1回で30万円の契約なら、遠方からでも訪問する価値があります。

そのため、弘前市における月額4万円の案件は、地元コンサルタントに競争相手が限定されやすく、地域密着戦略が効果的に働きます。逆に、都市部では少額案件でも競争が激しく、独自性やブランド力が求められる傾向が強まります。

● 結論

地域によって「有利なやり方」と「不利なやり方」は明確に異なります。地方では地元特化が優位に働き、都市部では差別化力と競争戦略が不可欠です。そして、オンライン化の進展によってこの地域差は縮小しつつも、案件規模による影響は依然として残っているのです。

Question2

(2)経営コンサルタントとして事業戦略を検討する際に、他に注意すべきことはありますか?

(2)はい、あります。最も注意すべきことの一つは、表面的な数字や華やかさに騙されないことです

多くの人は「売上が大きい」ことに目を奪われがちですが、その裏側にあるコスト構造を見落とすと、戦略を誤る危険があります。

● 表面的な売上に惑わされる危うさ

例を挙げましょう。仮にA君とB君、2人の経営コンサルタントがいたとします。

  • A君:広告費ゼロで売上650万円
  • B君:売上2,000万円だが、広告費に1,200万円を投じている

数字だけを見れば、多くの人は「B君のほうが優れている」と思うでしょう。しかし、冷静に考えると、B君の事業は売上の6割以上を広告費に費やしており、見た目は華やかでも、実際の利益は大きく削られているのです。

私が関わった通販ビジネスの世界でも、このような広告依存型のモデルを多く見てきました。月々の売上の半分以上が広告費に消えていく…。そんな事例は決して珍しくありません。

● 広告依存型モデルの構造とリスク

広告依存型のビジネスは、「先に大きな広告費を投じて新規顧客を獲得し、その顧客からのリピート購入で徐々に回収する」という仕組みで成り立っています。理屈としては正しいのですが、現実には次のようなリスクがあります。

  • 当初の計算どおりに「時間の経過と共に後で回収」できないことが多い
  • 顧客のリピート率が想定以下になる場合、一気に赤字に転落する
  • 投じる金額が大きいと、歯車が狂ったときの損失も大きくなる

つまり、表面上は勢いがあるように見えても、持続性に乏しい「マネーゲーム」に陥る可能性が高いのです。

● 書籍広告のケース

個人コンサルタントの中には、本を出版し、日本経済新聞にその広告を出す人もいます。出版社名義で広告を出すのですが、費用の殆どを自己負担するケースもあります。

例えば、日経新聞の2面や3面に「半5段」の広告を出せば、1回につき300万円以上の出費になります。これを年に5回、6回繰り返せば、1,500万〜2,000万円規模の投資が必要となります。

仮に300万円を投じて、200万円のコンサル契約を3件獲得できれば、売上600万円、利益300万円となります。2件の獲得なら100万円の利益。1件しか獲得できなければ赤字です。このように検討してみると、広告依存モデルの実態は「高リスク・ハイリターンの賭け」であることがわかります。

● 長期的に持続する戦略とは?

このようなマネーゲーム型の戦略においては、潤沢な資金を持つ大企業経営者なら別ですが、資金力に限りがある独立コンサルタントや士業が手を出す時には要注意です。

B君の事業のように「売上2,000万円」と聞くと華やかですが、その裏側に大きな広告投資が隠れているなら、それは極めて危うい構造です。むしろ「広告なしで650万円を稼ぐA君」のほうが、地味ではあっても堅実で持続性があります。

●まとめ

経営コンサルタントが事業戦略を考える際に忘れてはならないのは、売上規模や表面的な華やかさではなく、利益構造と持続性を重視することです。

「日経新聞に大きな書籍広告を出しているからすごい」というのは錯覚にすぎません。その裏では、莫大な広告費を回収できるかどうかの綱渡りをしているのです。結局のところ、最も儲かるのは広告出稿をすすめるブローカーや出版コンサルタントたちであり、独立コンサル本人に残るものはリスクと不安定な収益だけというケースも珍しくありません。

だからこそ、経営コンサルタントとして戦略を立てるときは、表面的な数字に惑わされず、本質的な収益性と持続可能性を見極めることが何より重要なのです。

Question3

(3)いくら強みが活かせたとしても、「止めた方が良い、稼げない!」のは、どのようなセグメントですか?

(3)市場に公金が大きく入り込んでいる分野です。

典型的に「止めた方が良い、稼げないセグメント」と言えるのは、市場に公金が大きく入り込んでいる分野です。

まず、判断の基準として押さえておきたいのは「その市場に本当に金が動いているかどうか」です。仮に金が動いていたとしても、その出所が公金に偏っている場合は注意が必要です。

なぜなら、公金依存型の市場では報酬が一律に決められており、ビジネスとしての自由度や収益性が制限されるからです(※ただし、補助金申請の支援など、一部の例外は存在します)。

● 介護分野に見る典型例

私自身も関わってきましたが、介護分野はまさに公金依存が顕著な業界です。介護業界のあらゆる領域に国や自治体の資金が入り込んでいます。その結果、そこで活動する独立系コンサルタントの多くは、セミナー講師や行政関連の業務など、公金が絡んだ事業に関与する形で収入を得ることが多くなります。

もちろん「自分には合っている」「謝金が少なくても、これで十分だ」と感じる人もいるため、否定するつもりはありません。しかし、単価は低く抑えられているのが実情です。

また、統計があるわけではありませんが、独立系コンサルタントの半数以上は何らかの形で公金案件に依存していると考えられます。特に中小企業診断士の中には、売上の100%を公金絡みの案件から得ている人も少なくありません。例えば、東京都中小企業振興公社、中小企業団体中央会、中小企業診断士協会などの業務を掛け持ちして生計を立てているケースです。

● 公金依存ビジネスの特徴と問題点

公金の流れるところには確かに仕事が発生します。新型コロナのときも、給付金や補助金を巡って多くの中小企業が公的機関を利用し、そこにコンサルタントの出番が生まれました。これは歓迎すべき現象でもあります。

しかし、問題は報酬体系に柔軟性がなく、一律で固定されていることです。

  • 「1時間=1万円、最大3時間まで」
  • 「1日=2.5万円〜3万円」

といった基準があり、それ以上は支払われません。

例えば30分のセミナー講師を務めた場合、準備に10時間かけても報酬は「30分=5,000円」で打ち止めです。資料作成や打ち合わせにかけた労力は評価されないということ。私自身も公的案件で同じ経験をしました。依頼を断れず引き受けたものの、実際に報酬額を聞いたときは驚かされました。

同じような構造は専門学校の講師業にもあります。1コマ(50分)で4,000円程度の報酬。授業準備に6時間かけても、それは「報酬ゼロ」です。

● 公的支援と競合する難しさ

独立コンサルタントは中小企業を主な対象とします。そんな中小企業は、商工会議所などの公的サービスを「無料または低料金」で利用することができます。だから、彼らと同じ土俵で勝負しても、価格競争になり、到底太刀打ちできません。そこで、自分のサービスを差別化し、独自の付加価値を示さなければなりません。

その一方で、経営者の中には公的支援に頼りたくない人もいます。「商工会議所は税金頼みの連中の集まりだ」と批判的に見る人も少なくありません。実は、こうしたタイプの経営者こそが市場の「隙」です。こういう経営者が相手なら、例えば「売上10億円規模の企業に対して、月1回・2時間の訪問で30万円を請求する」といったビジネスも成り立ち得るのです。

● まとめ

結論として、公金が大量に投入されているセグメントは「止めた方が良い、稼げないセグメント」である可能性が高いということです。確かに仕事は生まれますし、短期的には収入になります。しかし、報酬単価が低く抑えられ、時間や労力とのバランスが悪いことが多々あります。

独立コンサルタントが持続的に成長していくには、こうした公金依存型の市場だけに頼るのではなく、むしろ「公的支援を嫌う経営者層」や「独自の価値を求める法人市場」にアプローチすることも必要です。

お役に立てましたでしょうか?

手持ちの資金や借入状況(住宅ローンを含む)などによって、使えるお金の範囲は人それぞれ異なります。

また、「どこまでのリスクを許容できるか」という点も、大きく個人差があります。

このように、ご自身の資金状況や価値観によって、最適な判断は変わってくるものです。経営コンサルタントの事業戦略は、まさに十人十色と言えます。

私との「1対1」で行う本気のディスカッション形式のコンサルティングでは、あらゆる可能性と選択肢を一緒に検討し、あなたにとって最善の戦略を明確にしていきます。新しい視点や気づいていなかった課題が見えてくることも多く、得られるものは非常に大きいはずです。

戦略が曖昧なままだと、結果として「機会損失」が積み重なり、200万円、400万円、500万円と、知らないうちに大きな損失につながっていきます。広告を出さなくても、試行錯誤の期間が長くなればなるほど生活費はかかり続け、手元資金はじわじわと減っていきます。

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