お疲れ様です。
いよいよこのパートが【新 特別レポート】の最後となります。
サラリーマンからコンサルタントとして起業し、もうすぐ丸3年が経過します。当初は、サラリーマン時代よりも遥かに稼げると期待していました。ところが、現実は大きく異なりました。丸3年の月日が過ぎようとしていますが、いまだに1件目の契約すら取れません。
それどころか、まるで先が見えません。「セミナーをやった方が良い」と言われ、これまで5回ほど企画しましたが、開催できたのは初回だけ。それも、3人の知り合いに頼んでサクラとして来てもらったのです。売上はありませんでした。3回目以降は、コロナ禍ということでオンライン開催を企画しました。残念ながら、申込者は1人もいませんでした。
また、ホームページ上で「相談会」を積極的に案内してきましたが、いまだに1件の申し込みもありません。講演やセミナーの講師として声が掛かったこともこれまで1度もありません。ホームページのお問い合わせフォームにメッセージが入ったことは3年の間に10回ほどありましたが、全てSEO対策などの営業メールであり、問い合わせについても実質1件もないという状態です。
このままコンサルタントとして続けるべきかどうか迷っています。どうしたら良いでしょうか? 今後のアクションとしてどのような選択肢があるでしょうか?
巷には「年収3,000万円」「1億円」などの大きな数字をちらつかせ、「儲かりました!」という顧客の声(?)をズラリと並べ、甘い期待を抱かせる情報があふれています。それらを鵜呑みにしたことが、最初の間違いだったのではないでしょうか。
つまり、広告や宣伝の「顧客の声(フィクション)」を信じるのではなく、もっと現実を直視した上でキャリア戦略を描くべきだったということです。
一般企業で新規事業を立ち上げる際には、一定以上のリサーチを行い「やる・やらない」や「どう参入するか」を判断します。個人でコンサルタント業を始める場合も同じです。
市場や競合を調査し、実現可能性を見極めることは必須です。調査をしていれば、「儲かりました!」という顧客の声の多くが眉唾ものであると見抜けたはずです。
● まずは簡単にできる調査から始める
例えば、あなたはひとりコンサルタントとしてどのくらいの料金設定を考えていますか?
同じテーマを扱う人が、スポットコンサルの場(例:ビザスク)でどのくらい請求しているかを知っていますか?
こうした「相場の理解」も立派な市場調査です。簡単にできることから始めるべきです。
● 独りよがりの危うさ
私が『今すぐ改革』で痛感したのは、独りよがりで事業を考え、市場や競合を理解しない人が意外と多いことです。1時間でできる調査ですら避けてしまう人もいます。
その結果、顧客のニーズから外れた「独りよがりの事業」となり、成果が出ません。だからこそ、3年前にやるべきだった調査や準備を、今からでもやり直す必要があるのです。
● キャリアの仕切り直しと選択肢
必要なのはキャリアの仕切り直しです。事業の立ち上げ時にやるべきだったことを改めて行った上で、以下の選択肢を検討してください。
抽象的な「マーケティングコンサルタント」から「YouTube活用コンサルタント」へなど、専門性を絞る。
法人狙いから個人狙いへ、あるいはその逆へ。
「自分の企画」だけで集客する方法から、「他人の企画」に乗って経験を積む方法へ比重を移す。
継続が難しいと判断した場合、他の道を模索する。
● 自分の強みと顧客像の再確認
どの選択肢を取るにしても、前提は「顧客理解」です。顧客は何に価値を感じるのか?
その上で「自分の強みは何か」を明確にしてください。どの顧客像をターゲットにすれば強みを生かせるのかを再確認するのです。
● 自分の企画 vs 他人の企画
最初の数年間は「他人の企画」で経験を積み、その後「自分の企画」に展開するのも戦略の一つです。
 
  
 もう20年ほどコンサル市場を見てきてわかったのは、契約ゼロのまま数年経過する人は、その後も大きな変化がない限り同じ状態が続くということです。
特に、サラリーマン時代の人脈を使えるのは起業後の最初の2年程度。その間に成果が出せないと、その後は一層厳しくなります。
ホームページのデザインを良くするよりも、見込み客を集めるコンテンツ作りやアクセス施策を優先してください。
● キャリアのリセットも選択肢
「高額塾に行けば解決する」などという甘い話はありません。むしろ、起業から2年以上経って契約ゼロなら、キャリアのリセットを検討すべきです。
仕切り直して「なぜうまくいかないのか」を客観的に見直し、適切なアクションを取る必要があります。
● 今後のコンサルタント市場の変化
今後、コンサルタント・顧問・副業人材の垣根は崩れていきます。
ひとりコンサルタントは、複数の人材を送り込める会社とは違い「できること」が限られます。差別化を図らなければ、格安のスポットコンサルや公的機関の無料サービスと簡単に比較されてしまうでしょう。
さらに、クラウドソーシングの進化により、企業は「多数の登録者」から最適な人材を簡単に選べるようになっています。これに埋もれないためには、自分の強みとポジションを明確にするしかありません。
 
 大変お疲れ様でした。これで全20回のレポートは完結となります。
ここまで読み進めていただいたことで、「戦略シナリオ」や「キャリアプラン」を自分らしく描くためのヒントを得ていただけたのではないでしょうか。最終的な答えは十人十色ですが、重要なのは「あなたらしさ」を核に据えて、一貫性のある道筋を持つことです。
今の時代は情報があふれ、「年収●●万円」と煽る声や「出版すれば成功する」「これからはYouTubeだ」といった甘い囁きが飛び交います。しかし、他人の言葉に振り回されて核が揺らげば、いつの間にか迷い続ける3年、5年、10年間を過ごしてしまうかもしれません。
だからこそ、あなた自身の核を明確にしてください。
経営コンサルタントとして、どこで、誰に対し、何を武器に戦っていくのか──。その中心軸を据えたとき、あなたのキャリアは「迷い」から「歩み」へと変わります。
ぜひ、自分だけのシナリオを描き、それを現実のものにしていってください。
これからの一歩一歩が、あなたの未来を形づくるはずです。