「コンサルティングは無形のサービスだからわかりにくい。だからパッケージ化して“見える化”すれば売れるようになる!」——ある人からそう助言を受けました。私はそのアドバイスに従い、既存のサービスをやめ、新しくパッケージ型サービスを作成し、ホームページも改修しました。料金・回数・契約期間を明示し、「1回目は○○をやる」「2回目は○○をやる」といったスケジュール表も用意しました。
ところが、2年、3年と経っても集客は苦戦続き。むしろ「独自手法をパッケージ化したことが、集客面で逆にマイナスだったのではないか?」と強く感じるようになりました。
そこで質問です。コンサルサービスのパッケージ化はやるべきでしょうか?
結論から言えば、「YES」であり「NO」でもあります。ターゲット顧客によって答えが変わるからです。個人事業主やフリーランスのような小規模事業者を対象とする場合、パッケージ化は有効です。特に、「〇〇塾」などと称した集合研修やセミナー形式で提供する場合は必須でしょう。
一定の資金力がある企業が実施する場合も、パッケージ型で問題ないケースがあります。
しかし、独立したコンサルタントが法人向けに展開する場合は「NO」と言わざるを得ません。もっとも、「NO」といっても完全否定ではなく、“サービスの一つ”として持つのは良い、という意味です。
パッケージ化は諸刃の剣です。独自性を打ち出せれば強力な武器となる一方で、需要そのものを自らの力で喚起しなければならないため、集客を難しくする要因にもなります。この点が最大の落とし穴です。
顧客が無意識に求めている「価値」は、パッケージそのものではなく、個別の課題に対する柔軟な解決力です。だからこそ、パッケージ化のやり方を誤ると、特に集客面において苦労することになります。
一定規模を誇るコンサルティングファームはどのように顧客を獲得しているでしょうか。答えのヒントは「後出し」です。
多くのファームは、まず候補となる企業と接点を作り、ヒアリングを重ね、その企業に合わせた提案を繰り返します。ときには役員会議でのプレゼンを経てようやく契約に至ります。相手に合わせてカスタマイズした提案を行うのが基本です。
これは「1回目は○○をやる」「2回目は…」と事前にメニューを提示し、Yes(やる)/No(やらない) を迫るパッケージ型のやり方とは対照的です。前者は相手に合わせて「後出し」するのに対し、後者は自分都合で「先出し」するため、響かない限り関心を得られません。
独自手法のパッケージ型は、悪い言い方をすれば、売り手都合のサービスの押し付けになります。相手の意見を聞いた上で提案として「後出し」するのではなく、先に「ウチのサービスは…」と「先出し」するからです。これでは図星をささない限り、相手に関心を持ってもらうことが難しくなってしまいます。
つまり、法人相手にパッケージ型だけで挑む場合、それなりの資金力があり、認知度アップのためにそれなりの金額をプロモーションに投入できるような企業でない限り、ちょっと大変です。子会社や協力会社など少なくて10社くらいに導入し、それなりに成果があったことを強く主張できるような状態になっていない限り、集客が難しくなってしまいます。
一方で個人事業主が相手の場合、4~5回も提案書を持っていくような営業は効率が悪すぎます。だからこそ、パッケージ型を見せて「興味がある人」に名乗り出てもらい、アプローチする方法が有効です。
個人事業主は数が多く、大きな企業と異なり彼らの多くは外部とのネットワークが限られているため、ネットからの情報収集に依存しがち。なのでリーチしやすいのです。
法人向けコンサルタントであれば、パッケージ型は「補助的な選択肢」として持ち、必要なときだけ提示するのが最適です。「実はこういうメニューもあります」と後から出す形が良いでしょう。
50万円以下のサービスならパッケージ型でも問題ありませんが、100万円を超える場合は、相手企業の課題と直結しなければ成約に結びつきません。
むしろ私が強く推奨するのは、サービスのコンテンツ化です。自分のノウハウを冊子やレポートにまとめ、それをベースに展開していくこと。これならパッケージ化の弱点を補いつつ、柔軟に提案できるようになります。
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● コンサルタントに求められる「価値」とは
クライアント(顧客)側がコンサルタントに求めている「価値」が何であるかをよく検討することはとても重要です。そして、その「価値」はクライアントごとに異なります。
例えば顧問税理士の場合、単なる記帳代行や決算の申告書作成といった作業だけでなく、「自社の財務状況を理解しているので、困った時に気軽に相談でき、的確なアドバイスをしてくれること」が価値かもしれません。その価値に対して、企業は月額顧問料を払っているのではないでしょうか。
● 情報ではなく「成果につなげる力」
では、コンサルタントの場合はどうでしょう。価値の中心はコンテンツそのものではありません。
コンテンツに価値があるだけなら、わざわざコンサルに依頼しなくても、レポートや書籍、WEB記事などで簡単に入手できます。
つまり、クライアントが本当に求めているのは「情報」そのものではなく、その情報をどう活かせば成果につながるのかを示し、実行まで伴走してサポートしてくれる存在です。
別の言い方をすれば、オンラインで受身で聴くだけの〇〇講座などに超高額を払う意味はあまりない、ということです。
● ケース・バイ・ケースで変わる価値
「パッケージ化していること」自体が価値になるケースは少ないでしょう。
クライアントが本当に求めている価値はケース・バイ・ケースです。
例えば、BtoBの世界では企業が「紹介してくれること」を期待する場合、コンサルタントの持つ人脈やネットワークが価値になります。あるいは、事業運営に強い不安を抱えている場合には、「伴走してくれる安心感」が価値となるかもしれません。
このように考えると、パッケージ型のコンサルは多くの場合、クライアントにとって直接的な価値とはなりにくいのです。
● まとめとご案内
オンリーワンや唯一無二をうたって提供する独自コンサルは、集客の面で苦戦することが多いので要注意です。
なお、私は『今すぐ改革』というサービスを提供しています。ご興味があれば、下記をクリックしてご確認ください。無料相談もご用意しています。