この教材は下記の通り、計8つの章から構成されています。
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はじめに ←試し読み
第1章:本教材の最重要ポイント(Q&A) ←試し読み
第2章:事業活動の実態把握で重要な3つの動きを理解する
第3章:「自社の強み」を活かすために必ずやるべきこと
第4章:戦略ストーリーづくりの前におさえるべきこと
第5章:5つの販売戦略ポイントとは?
第6章:戦略を描き、体系的に目標を設定する
第7章:設計図(プロセス)なしの事業活動は博打と同じ
第8章:ビジネスモデル&利益の設計はこうやろう
「戦略とプロセスを明確化した事業デザイン」の世界にようこそ。
2020年はコロナ騒動で大変な年でした。それは2021年に入ってからも続き、1月に改めて一部の地域では緊急事態宣言が発出されました。国や自治体のコロナ対策や企業支援策は試行錯誤の連続でした。専門家のアドバイスはバラバラで、テレビ番組のコメンテーターは好き勝手なことを言っていました。
実は、ビジネスの世界も全く同じ。例えば、営業の世界では「成約に向けて小さなYesを積み重ねよう」などという言葉をよく耳にしますが、このアドバイスを完全に否定する人もおり、人によって意見はバラバラ。
結局のところ、あなたの事業の、どの指標(数値)を、どのように、どれだけ改善すれば、事業全体がどのようなインパクトを与えうるのか? そういったことが体系的に整理されていなければ、錯綜する情報に振り回されてしまい、打ち手が場当たり的になってしまいます。
そのためには、事業のどこに力を入れるべきか? こういうことがわからないと、「打ち手A」を試してダメなら「打ち手B」を、BがダメならCを、などという試行錯誤や堂々巡りの状態がいつまでも続きます。
私が運営している戦略プロセス経営実践会では「見える化・体系化・仕組み化」を支援コンセプトに、戦略とプロセスを明確化した事業デザインの支援を行っています。PDCA(Doから始めることも)を迅速に回し、検証しながら、明確化した戦略(初期の仮説)を、より早く「正解」に近づけていくための一連の仕組みづくりです。
実は、事業では「あれも!」「これも!」と手を出す前にやるべき重要なことがあります。それは先に「成功パターン」をつくり上げること。売上規模は小さくても良いので、「成功パターン」をつくり上げることです。一旦、「成功パターン」がわかれば、あとはそれを水平に展開していけば良いのです。それが当会の「戦略とプロセスを明確化した事業デザイン」の狙いでもあります。
そこで、「成功パターン」をつくるために取り組む「戦略とプロセスを明確化した事業デザイン」の中でも「これは重要だ!」と、私が考えているポイントを解説するために『あなたの事業を丸裸にすれば次なる打ち手が見えてくる』と題して本教材を上梓しました。タイトルの通りですが、事業を丸裸にすることで「次に何をすべきか?」「どこに手を付けるべきか?」「何を優先的に行うべきか?」ということが見えてくるのです。「やみくもにチャンスを探し求めるようなアクションを繰り返すのではなく、成功パターンをつくるために事業をきちんとデザインしたい!」とお考えの方であれば、業界・業種は関係なくどなたにも役立つ内容であると確信しています。
ただし、主たる読者として中小・零細企業の経営者を想定しています。中小企業の経営者や経営幹部向けの内容ということです。もちろん戦略やマーケティングなどを学びたいと考えている個人事業主の方にもおすすめです。
ところで私、関口がいつもダメだなと思う会社や団体には共通して見られる典型的な特徴があります。それは「戦略がない」ということです。そのような会社(団体)では事業の基本的な事柄の明確化(定義付け)が曖昧なのです。おぼろげな目的はあるものの、目先のチャンスに飛びつこうとするから「●●であなたも儲かります!」という「ツールありき」の情報に翻弄されてしまうのです。●●にはFacebook広告、YouTube、それに出版などが該当します。
そのように、チャンスを追い求めるごとく「打ち出の小槌」を欲しがる会社が多いこともあってか、巷では「たったの9カ月で売上3倍アップの□□法」「○○界No.1のカリスマがかたくなに秘密にしていた門外不出の□□法を初公開!」「伝説の…」などと、センセーショナルな表現であおる業者が少なくありません。表向きだけ立派な、経営者が嬉々とする小手先のノウハウが溢れています。特に個人事業主や小規模な事業の経営者に対する「●●で儲かります!」「私は●●で1億円儲けました!」というような情報が異常なくらい氾濫しています。
でも、そういう派手な宣伝文句に魅了されて小手先のノウハウに飛びついたところで、上手くいくはずはありません。「打ち出の小槌」はどこにもないからです。繰り返しになりますが、「売上が3カ月で倍増しました!」「半年で顧客数が5倍に増えました!」「こんなに儲かりました!」「もう感謝、感謝です!」などと、次から次へと「顧客の声」を公開する販売手法が、特に小規模な事業者を対象にした商売にはよく見られます。フェイクニュースならぬフェイク事例を活用しながら巧みに演出する人が少なくないのです。
冷静になって考えてみれば気付くはずですが、どれもやたら都合の良い話のオンパレード。しかも、結果に至るまでのプロセスやロジックが欠如しています。「売上」と「年収」が一緒くたになっている、あるいは、売上に対する販促費などが不明なケースばかりです。それらは社会的証明の原理を上手く活用し、受け手(読み手)の感情を操作するテクニックとして使われているにすぎないわけです。
本来なら手持ちの資金、ターゲット顧客、事業の成長ステージ、市場などによって「攻め方」、つまり戦略は企業ごとに異なるはずです。「あなたの会社の立ち位置」はヨソとは異なるのです。10社あれば10通りのやり方があります。
だから、万が一にも「門外不出の〇〇法」などを使って運良く上手くいったとしても、「一発花火」が少し打ち上がる程度でしょう。だからこそ、「儲かる」という言葉で好奇心をくすぐられて飛びつき、小手先のテクニックに頼ろうとしてはいけません。
何を隠そう、それは問題の本質を見落としていることに気付かぬままチャンスを追い求め、ついつい小手先のテクニックに頼ろうとしていた私の反省でもあるのです。そのような反省を踏まえた上で、本教材では「ビジネス活動の見える化」「業績管理の体系化」「戦略経営の仕組み化」をはじめとする戦略思考の「事業デザイン」を重視しています。これは遠回りに見えることかもしれません。なぜなら明日、明後日にすぐ成果が目に見えて現れることはないからです。即効性はないし、「こんなに儲かりました!」などと演じてくれるサクラは準備されていません。ですが、実は「ビジネス活動の見える化」「業績管理の体系化」「戦略経営の仕組み化」が「成功パターン」への近道となるのです。
なお「戦略」といっても、学者や大企業のサラリーマンが好む立派な戦略論では、分析することや難しい専門用語を覚えることが目的になり、本質を見失いがちです。中小企業ではむしろ「いかに実行するか?」の方が重要ではないでしょうか? なぜなら、どんなに立派な戦略を描いたところで「実行」できなければ、「絵に描いた餅」にすぎないからです。
「戦略」とは「仮説」であり「答え」ではありません。結局のところ、どこを探しても「答え」はないのです。だから、一定レベルの「戦略」を策定し、最初のうちはそれが「(初期の)仮説」であっても、より「答え」に近づくためにはそれを市場に出してやってみるしかありません。重要なことは、やってみて市場の反応を迅速にフィードバックできる事業をデザインすることです。
何年か前から新規事業立ち上げの生産性や成功率を飛躍的に高めるための「リーン・スタートアップ」の手法が注目されていますが、とにかくやってみて市場の反応を迅速に事業にフィードバックすることです。大企業ではシンクタンクに大金を払ってセカンダリーデータ(Secondary Data)をかき集め、体裁よく作成されたレポートを手にすることで満足しがちですが、中小企業には、そのような理屈っぽく作成されたレポートよりも、むしろ迅速に動くことの方が重要です。特に、2020年のコロナ騒動によって経営者は、想定外の事態に遭遇した際に迅速かつ柔軟に順応できる、つまり急激な環境変化に対応できる会社経営を突きつけられました。だからこそ、戦略とプロセスを明確化した事業デザインが求められるのです。それが早期に「成功パターン」をつくり上げることにつながります。
なお、重要なことをお伝えしますが、「成功パターンはこれだ!」という万人に共通する「答え」はどこにもありません。お伝えした通り、手持ちの資金、ターゲット顧客、市場などによって「攻め方」はそれぞれ異なります。策定する「事業戦略」は仮説にすぎません。仮説として描いた「戦略」を市場に出してみて、それを実行しながら新たな感触や結果を得て、検証して…というPDCAサイクルをグルグルと迅速に回す、そういう事業をデザインすることです。そうやって早期に試行錯誤の状態から抜け出すことが結局のところ、一番の近道なのです。
私は文章で伝えるよりも自ら主催するセミナーなどの場を通じて、あなたと一緒にコミュニケーションを図りながら進めた方が、遥かに効果があることを確信しています。しかし、時間や資金などの制約があるので誰もが気軽に「私と一緒に…」というわけにはいかないでしょう。そこで、まずは本教材を通じて少しでも重要なポイントをご理解いただければと願っています。
本教材があなたの事業に役立つことを願うばかりです。
~戦略プロセス経営実践会~
株式会社とげぬき
関口 史郎