こちらのページでは、教材『あなたの事業を丸裸にすれば 次なる打ち手が見えてくる』の試し読みができます。「第8章」のイントロダクションと「ポイント1」の全文をそのままお伝えしています。
なお、「第8章:ビジネスモデル&利益の設計はこうやろう」は、計6つのポイントから構成されています。
お伝えした通り、事業の成功には「顧客の満足」と「自社の儲け」の両立が不可欠です。この章では「自社の儲け」である損益構造と利益の設計について解説します。そこでは主に3つの指標が重要となります。ご自身の事業についてこの3つの指標(数値)をよく知り、どの数値がどう変わり、その変動がどう損益に影響するかを理解しておくことがポイントとなります。こういうあなたの事業のメカニズムをよく把握していれば、顧客単価5,000円の売上をつくるために仮に10,000円掛かっていたとしても、焦る必要はないのです。2カ月後、3カ月後の売上の見通しも容易になります。新規の顧客を獲得するのにいくらまで投資できるかについても明確になります。
「○○が売れるのでは?」と飛びつき、行き当たりばったりの事業展開ではとてもマズイのです。事業をよりサイエンスしましょう。
さらに重要なのは、お金を掛けて獲得した新規の顧客が、「リピート購入(追加購入)してくれる→ファン客になってくれる」というサイクルの仕組みを上手く構築することです。
さて事業で成功するためには「顧客の満足」と「自社の儲け」を両立させなければなりません。第7章では顧客の育成、つまり「顧客の満足」面について説明しましたが、この章では「自社の儲け」に話をスイッチします。
その前に「ビジジネスモデル」について少しだけ説明させてください。ビジネスモデルという用語についてはさまざまな定義がありますが、「儲けの仕組み」というのが私にとって最もしっくりくる表現です。
ビジネスモデルには下記の通り6つの基本的な要素があります。
1つ目は「価値提案」です。これは顧客に対してどのような価値を創造するかを明確にすることです。
2つ目は「市場セグメント」であり、これはあなたの会社が勝てると思われる領域(セグメント)のことです。これについては既に詳しくお伝えしました。
3つ目は「利益」がどのようにして生み出されるかを明確にすることです。これがこの章の本題です。
そして4つ目は「バリュー・チェーン」の特定です。バリュー・チェーンとは原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでの企業活動を一連の価値(value)の連鎖(chain)として捉える考え方です。
5つ目は「バリューネットワーク」の明確化です。バリューネットワークとは既存顧客と自社、サプライヤー、流通事業者などからなるネットワークです。いわば企業にとっての生存環境です。バリューネットワークでは1つの製品は他の製品やサービスによって初めて価値が付けられると考えています。例えば車に価値が見い出せるのは道路やガソリンスタンドが整備されているからです。だから道路が整備されていなければ、車の価値は限定されてしまいます。そして、6番目は「競争戦略」を策定することです。これについては競合他社や新規参入企業に対する競争優位をどのように獲得し、維持するかということです。こうした6つの要素全てが事業を設計する際に含まれていなければならないのです。
競争に対処するのは戦略の役割ですが、ビジネスモデルを設計する時は戦略のことは考慮しません。ビジネスモデルとは別に戦略が必要となります。何度もお伝えしている戦略ですが、これは物事を達成するための方法です。一方、ビジネスモデルは事業の中身や仕組みのことです。そこには競争の要素は織り込まれていないのです。ビジネスモデルを設計する時は、すでに競争のことを熟知している場合などは別ですが、戦略のことは考慮しないのです。少し理屈っぽくなってきたので、ビジネスモデルについてはこれでオシマイにします。