こちらのページでは、教材『あなたの事業を丸裸にすれば 次なる打ち手が見えてくる』の試し読みができます。「第6章」のイントロダクションと「ポイント1」および「ポイント2」の全文をそのままお伝えしています。
なお、「第6章:戦略を描き、体系的に目標を設定する」は、計12つのポイントから構成されています。
本教材の本丸であり、とても重要な内容を解説するのがこの章です。ビジョンという大きな目標の達成に向けて戦略を明確化し、実行していくからです。この章では戦略ストーリーをつくり上げ、体系的な戦略経営の仕組みを構築していく際に必要ないくつかのポイントを解説します。それにはまず、何よりもビジョンという目標を明確に掲げることが重要です。また、ビジョンの実現に向けた戦略経営の仕組みを上手く構築していくために、指標(メトリクス)を効果的に活用することが肝心です。いくつかのツールやフレームワークを上手く駆使しながら戦略とプロセスを明確化し、事業のデザインを行うことが重要となります。
さて、このセクションでは「成功パターン」をつくるための戦略ストーリーを描いていく際の最初のポイントを説明します。
まず、用語の確認をしましょう。「理念」とは法人が活動を行うにあたって根底となる考え方です。そして、「ビジョン」は法人が「理念」をベースに活動を行っていく上で描いている将来像のことです。先にも説明しましたが、理念は変わらぬものですが、ビジョンは変わるものです。「理念」や「ミッション」が明確になっているにもかかわらず「ビジョン」がない場合は、まず「ビジョン」の策定を行うことが必要です。ビジョンが明確になっていなければ、自分たちが進むべき道がよくわからず、曖昧になりがちです。ビジョンがなければ、社として的確な決断を下すことが難しくなります。
「進むべき道」であるビジョン(目標)を明確にしたら、次はその実現に向けた計画が不可欠となります。「現状」と「ありたい理想の姿」のギャップを埋める「ビジョンの実現」までには、大きな道のりがあります。そこで、そのギャップを埋めていくための戦略、それを実行していくための計画が必要となります。計画することによってどこまで前進しているか、どこまでビジョンに近づいているかを確認することができるようになるからです。しかし、ビジョンの実現までの道のりには大きな障害が立ちはだかっているはずです。だから、その障害を見極めなければなりません。そこでは何が障害であるかを特定することがポイントとなります。障害があることを認識し、それに邪魔されない方法を考え出しながら計画していくことになるのです。
ところで、第3章の中で自社事業の明確化やあなたの会社のポジションを確保しなくてはならないことを強調しましたが、そのためには、狙うべきセグメントを見極めることが必須です。顧客のニーズを満たす製品・サービスを持っているだけではダメなのです。常に市場の中で競争していることを意識しなければなりません。そこで、戦略キャンバスなどを使って競合分析することが重要になります。
先にビジョンは変わるものと説明しましたが、例えば競合分析によってビジョンを含めて全てが変わってしまうかもしれません。戦略プロセス経営実践会のコンサルティングでは、競合分析を実施することもありますが、この分析では「戦略キャンバス」のマップを描いてあなたの会社と他社の価値要素を比較してみます。その結果によって事業の方向性が変わってしまうかもしれません。「戦略キャンバス」とは現在および将来の戦略的なポジションを可視化する手法です。価値要素を比較してビジュアル化するものです。
例えばフィットネスクラブの場合を検討してみましょう。価値要素には「料金」「快適性」「便利さ」などが考えられます。フィットネスクラブを運営するA社とB社の製品の価値要素を10段階評価で比較する場合、料金についてはA社が8点でB社は5点、便利さではA社が4点でB社は9点だったりするわけです。この作業により「価値曲線」というものができます。
一般的な戦略キャンバスではKSF(Key Success Factor)と呼ばれる要因に関してあなたの会社と競合他社を比較します。これは先に説明したCSF(Critical Success Factor)と同義語ですが、私はここではKSF(CSF)ではなく、敢えて「価値要素」という用語を用います。この価値要素の特定がこうした競合分析を行うにあたって必要です。「戦略キャンバス」を分析することは競合他社と差別化して市場で勝つために役立ちます。どのようにして勝つか、具体的に何をすれば良いかを決める際にも役立つのです。
競合に関する情報を集める際はその会社の価値提案を把握することです。ポイントはそれらが競争要因であるということ。だから現在、ご自身の事業がいる市場で競争要因となっている価値要素をよく見極めることが重要です。それによって自社の市場について深く理解できるようになるからです。
とにかく、競合分析によってビジョンを含めて全てが変わってしまうかもしれません。事業の方向性すら変わってしまうかもしれないのです。
第6章の「ポイント1」および「ポイント2」はいかがでしたか?
この章の「ポイント3」~「ポイント12」の内容につきましては、教材を購入された上、ご確認ください。