こちらのページでは、教材『あなたの事業を丸裸にすれば 次なる打ち手が見えてくる』の試し読みができます。「第5章」のイントロダクションと「ポイント1」の全文をそのままお伝えしています。
なお、「第5章:5つの販売戦略ポイントとは?」は、計5つのポイントから構成されています。
第4章では「戦略ストーリーづくりの前におさえるべきこと」と題し、4つのことをお伝えしました。
今後、私たちは本格的にAI活用の時代を迎えることになり、同時にさまざまなモノ(ツール)がIoTでつながり、ますます高度化・複雑化していきます。その結果、「単なるモノ(ツール)売り」のアプローチでは「なかなか売れない!」「使ってもらえないから広がらない!」という問題に直面するはずです。
「使い方を教え込んだのに、なぜ?」「何が悪いんだ?」などと葛藤することになるでしょう。そんな場合の解決策は何でしょうか?
それは「需要を喚起し、顧客育成しながら市場を開拓する!」ことです。そこで「5つの販売戦略ポイント」と題し、「売り手」が「需要を喚起し、顧客育成しながら市場を開拓する!」ためによく理解していただきたいことをお伝えします。
この章では、モノやサービスの販売に際し、私、関口が「成功パターン」をつくるために必須であると考えているポイントをお伝えします。全部で5つあるので、「5つの販売戦略ポイント」と称して説明します。
5つの戦略ポイントの1つ目は「見える化」です。「見える化」は顧客(買い手)に対して行うことはもちろんですが、あなたの会社のマネジメント強化のためにも取り組むべきことです。実はこの「見える化」がモノ(ツール)やサービスの販売において重要なカギとなります。
まずは顧客である「買い手」に対して取り組むべき「見える化」について説明します。そこで、ここでは説明のために、ある顧客(潜在顧客)が「夜間の見守りが負担で悩んでおり、何とかしたい!」と悩んでいると仮定します。
その顧客(潜在顧客)は展示会などの何かしらの接点を通じてあなたの製品の存在を知り、説明を求めてくるかもしれません。つまり、その顧客はある接点をキッカケに潜在顧客から見込み客に見事変身したのです。その時はここぞとばかりに「ウチの製品はこれで、このように使うのです!」と一生懸命に説明するでしょう。ところが、その顧客(見込み客)にはその説明ではよく理解できないかもしれません。正確に表現すると「判断できない」のです。
これまでに私は、メーカー・代理店などの製品説明の場に何度も立ち会ったことがありますが、多くの担当者は「ウチの製品は…」と自社製品の説明を始めます。それが当たり前なのかもしれませんが、自社製品の機能面や操作方法の説明をするだけでは「見える化」になりません。顧客(買い手)にはよくわからないのです。
本来であれば、(例えば)見込み客の見守り機器に関する“理解度”を把握した上で説明を変えた方が良いのです。私たちは日頃から買い慣れている、または、見慣れているモノに対する判断は容易にできます。例えば通常100円前後で売られている500mlの水がコンビニで3,000円と値付けされていたら、誰もが「この水はやけに高いな!」と感じるはずです。
もし500mlの水を3,000円で販売するなら、100円の水とは明らかに異なる「価値」を伝えて顧客に納得してもらわない限り、なかなか売れないはずです。そのような価値を顧客に理解させるために「売り手」の企業はあの手この手を使うでしょう。通販の世界ではよく見られますが、効果・効能・開発秘話・希少性・顧客の体験談などの情報を提供しています。馴染みのある水と異なる、買ったことも使ったこともないものについてはよくわからないため、不安を払拭してあげなければならないのです。
見守り機器については多くの企業が市場に参入し、さまざまなタイプがあります。でも、日頃から積極的に情報収集している人でない限り、「どんなタイプがあり」「それぞれにどのような機能があり」「どのくらいの価格帯で売られているのか?」などということはよくわかりません。自分の会社に導入している製品については多少なりとは知っていても、それ以外のことはよくわからないはずです。だから、見守り機器について知識が限られた人たちに対していきなり機能面を説明しても、多くの顧客(見込み客)はわかったようで実はよくわからないはずです。
そこで「見える化」のポイントとして、まずは顧客(買い手)に対して見守り機器の全体像を説明してあげることです。その全体像の中であなたの製品がどのような位置にあるかを示してあげるのです。繰り返しますが、まずは「全体像」を見せてあげるのです。自動車の場合には「普通」「小型」「軽」などと区分して説明することができますが、同様のことが見守り機器についても可能なはずです。価格・機能・操作・大きさなど製品をカテゴライズする視点(切り口)はいくつもあります。全体像を理解してもらった上であなたの製品の位置づけ(ポジショニング)や提供できる価値を相手に説明し、「これならまさにあなたにピッタリでしょ!」と顧客(買い手)に納得してもらう必要があるのです。
これは、買い手に見守り機器の全体像を示した上であなたの製品の位置づけを「見える化」させてあげることです。そうしないと、他にもさまざまな見守り機器があるため、多くの人は「いろいろあるが、何が何だかよくわからない!」と迷ったまま判断ができなくなってしまうのです。
参考までにお知らせしますが、【図表5:戦略プロセス経営実践会のサービス】は、私が運営している戦略プロセス経営実践会のポジショニングを示しています。
さっと説明しますが、巷で目にするサービスの多くは「知識・ノウハウへの依存」と表現できます。これは「ある知識・ノウハウを習得すれば上手くいく!」「ある情報を得ることが問題の解決になる!」と期待し、それを提供してもらうことになります。だから「最新のネットマーケティング」「成功者だけが知っている秘匿の…」などと称した情報を提供し、その度に課金してくる業者も少なくありません。
一方、戦略プロセス経営実践会のサービスは一言で表現すると「自己解決力の強化」です。次から次へと知識・ノウハウを提供することよりも、むしろ考える力と知識を同時に身に付け、社長や社員が本来持っている力を最大限に引き出しながら解決していく「自己解決力の強化」を狙っています。
そこで、徹底したディスカッションを通じて、戦略思考・プロセス思考の力を強化し、ご自身の力で突破口を開いていただきます。そのために「見える化・体系化・仕組み化」に取り組むことになるのです。
では、再び見守り機器の話に戻ります。見込み客が見守り機器の全体像を理解していると仮定しましょう。「どのようなタイプの製品があり」「それぞれにどのような機能があり」「どのくらいの価格帯で売られているのか?」について一定の知識があり、あなたの製品が他社と比べてどのように違うのか(つまり特徴)を理解していると仮定します。
次に、「もし購入したら、それを社内の誰が」「どこで」「どのように使うことができるのか?」について顧客(見込み客)にイメージしてもらう必要があります。そのようにイメージしてもらうためには「他ではこんな使い方をしていますよ!」「こういう点には注意して使ってください!」「このような事例がありますよ!」などとわかりやすく「見える化」してあげると上手く伝わります。
これで顧客(見込み客)が「どこで」「どのように」製品を使えば良いかのイメージができたと仮定します。続いて「それを使うとどんなメリットがあるのか?」を「見える化」させることです。そこで、例えば「夜間の見守り回数が減り、職員の負担が軽減されます!」と伝えるかもしれませんが、それだけではあまり説得力がありません。では、どうすれば良いでしょうか?
このような場合、大学の先生などが使う難しい●●分析法などのデータを用いて説得する「見せ方」を好む企業があります。相手が専門家ならそれでも良いでしょう。しかし、介護現場の社員(職員)には理解できないかもしれません。そのようなことをするよりも顧客(見込み客)と同じ環境にいる、同じ立場の、同じ目線の人からの体験談などの方が共感してもらいやすいのです。こういうことが「見える化」です。見えないモノが「見える化」されれば、自身が使う際のイメージができます。顧客(見込み客)に「これなら課題の解決にピッタリだな!」と納得させ、「よし、これだ!」とスムーズに決断してもらえるよう顧客の「購入ステージ(活動チェーン)」に従って「見える化」させることが重要です。
なお、顧客の「活動チェーン」については後に改めて説明します。とにかく顧客の購入ステージに合わせて「事例の見える化」「違いの見える化」「成果の見える化」「プロセスの見える化」などが求められるのです。
「見える化」については、顧客とのギャップを埋めることを目的として顧客に実施する「見える化」だけではなく、自身の会社(事業)の経営力強化の目的でも必要となります。「見える化」によって例えば 1)ビジョンや戦略が理解しやすくなる 2)活動プロセスがリアルタイムで把握できる 3)情報が共有されやすくなるなどのメリットがあります。「見える化」の対象としては自社(事業)戦略・マネジメント・現場情報・部門間などがあります。
再現性のあるノウハウとして経営を確立しなければ、事業として成長させることは難しいのです。私が「成功パターン」と呼んでいる、成功に至る要因を正しく掌握して再現性のあるカタチに変換することからこそ、さらなる飛躍の一手を打ち続けることができるのです。そのためにあなたの会社の経営を「見える化」させる必要があるのです。
事業は顧客なしには存続できませんが、その顧客を獲得するためには何かしら投資的な活動を行うはずです。それも1つだけではなくさまざまな活動を行うでしょう。そういった活動の「見える化」が必要なのです。
さらに、「1人の顧客を獲得するために一体いくらのお金が掛かっているのか?」「一度獲得した顧客は2回・3回・4回とリピート購入しているのか(購入台数を増やしているのか)?」というような実態の把握も求められます。経理処理をする上でどこの会社でも税務会計上(あるいは管理会計上)の損益については把握しています。しかし、「集客活動が上手くいっているのか?」という視点での「見える化」もあなたの会社には必要となります。こういう経営上の「見える化」によって「どこに」「どんな課題があるのか」をわかるようにしておくことが、後のカイゼンにつながります。
第5章の「ポイント1」はいかがでしたか?
この章の「ポイント2」以降の内容につきましては、教材を購入された上、ご確認ください。