戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
今回のタイトルは「No.2:自身の上司をセンセイとして持ち上げるセミナーの開催!」となります。
以前、私が健康食品の通販事業の責任者を務めていた頃、とある会社が主催していた「●●研究会」の法人会員になっていました。会員の企業には特典がありました。その会社が開催するいくつものセミナーの中から月1回、無料で参加できたのです。
実はその会社のセミナーの演出が上手かったのです。
そこで、説明に入る前に、先に下手な会社の典型例を紹介します。
下手な会社は、礼儀正しく、セミナー会場で皆がペコペコ頭を下げます。まだ1円も払っていないセミナーの参加者(見込み客)を「お客様」と呼んで頭をペコペコと下げてくるのです。
セミナーに登壇した●●部長から事務局担当の一般社員まで皆が「ありがとうございました!」「ありがとうございました!」「ありがとうございました!」と大きな声を出して頭をペコペコ下げるのです。
参加無料のセミナーですよ。1円の売上にもなっていないのです。なのに、ペコペコ! ペコペコ! 面白いですね。
頭をペコペコ下げることはとても礼儀正しい行為であり立派です。しかし、それでは「見込み客」から業者扱いされてしまうのでは? 「下の立場」として扱われてしまうだけ。あるいは、せっかくのセミナーに対して「営業目的の説明会か?」と見込み客は見てしまうかも。
一方、上手い会社は何をやっていたのでしょうか?
上手い会社は、なんと、自身の上司を「○○センセイ」と呼んでいたのです。
しかも、司会役の部下が「本日は○○先生から貴重なお話が聞ける機会です」「◯◯先生は◯◯分野の第一人者として…◯◯で活躍し…」なとど紹介しながら持ち上げ、「それでは、皆さま、○○先生を盛大な拍手でお迎え下さい!」などとアナウンスしていたのです。
そうやって上手に演出すると、見込み客は「○○先生から話が聞ける貴重な機会」としてセミナーを聴くようになります。○○先生ご自身はもちろんですが、セミナー自体にも価値を見出してくれるようになります。同じセミナーなのに、ちょっとしたやり方の工夫次第で価値が大きく上がるのです。
この違いはセミナー会場で周囲の反応を見れば明らかです。
ここまで、理解できましたか?
全く同じセミナーを開催しているのです。かたや社員総出で頭をペコペコ下げるのです。かたや自分の上司に対して「○○先生」と呼び、来場者に敢えて拍手をさせる演出をしていたのです。これは「権威性」の演出です。それが大きな違いをもたらすのです。
全く同じセミナーですが、演出の違いによって、かたや「営業の話か?」とあしらわれてしまい、かたや「立派な先生から貴重な話を聴く機会を得た!」という感謝の態度になるはずです。
この文章をさっと読んだだけでは上手く伝わらないかもしれませんが、これはとても大きな違いをもたらします。繰り返しますが、かたや営業話として聞き流されます。かたや「○○先生からとても貴重なお話を…」「ありがとうございました!」という気持ちになるのです。
ところで、セミナーの演出が上手かった(先ほど述べた)○○先生は、大学の特任教授か何か忘れましたが、(会社の経営者とは)別の肩書を持っていたのです。そこで、セミナーでは「大学の肩書」を使って登壇していたのです。
部下の人はその肩書を上手くアナウンス(紹介)していたのです。大学のブランド力を権威として上手く活用していたのです。
司会の人は、「実はこの人、僕の上司なんです!」などとバカ正直に伝えることはありませんでした。身内の人物に対して、「センセイ」と呼んで持ち上げて、それを貫いたのでした。
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