【関口のつぶやき、感じたこと036】 

2019年 11月 12日(火)

  • ハブ企業
  • ネットワーク・ハブ
  • デジタル・スーパーパワー

こんにちは。戦略プロセス経営実践会の関口です。

本日も引き続き米国のHBR誌に掲載された論文から厳選されたものを集めた「テクノロジー経営の教科書」という本から学んだことを説明します。

今回は「一握りのハブ企業がもたらすデジタルドミノ効果」と題してお届けします。

「世界経済は少数のデジタル・スーパーパワーを中心に回っており、一握りの「ハブ企業」が主役の座を占める、勝者総取りの世界が生まれている」ということが本日のポイントです。ハブ企業とは、アリババグループ、グーグル、アマゾン、アップルなどを指します。アメリカの企業群はGAFA(ガーファ)、中国の企業群はBATH(バース)などと呼ばれています。

ハブ企業は個別市場を支配するだけではなく、経済にはりめぐらされたネットワーク上で、基幹的なつながりを生み出して制御します。

「ハブ」という言葉を聞いて、フェデクス社の創業者が大学時代にレポートにまとめて提出したところ担当の教授から「C」だか「D」の評価を食らったというハブ・アンド・スポーク(Hub and Spoke)を思い出しました。ただ、ここで言うハブは航空機や貨物などのモノではなくデジタルとなります。

ハブ企業の驚異に関しては、面白い文章を見つけたので、次の通りそのまま転記します。

デジタルネットワーク上での経済取引が増加するにつれて、消費者、企業、業界を相互につなぐネットワーク・ハブの経済的パワーは拡大していく。パブは、ひとたびある経済セクター(例:モバイル通信)において多方面とつながると(そして規模に応じて収益が逓増すると)、別のセクター(例:自動車)ともつながり始め、決定的な優位性を享受するだろう。すると、他の市場が次々とそちらになびき、旧来型の孤立した業界で競争する企業の多くは淘汰されて、一握りのハブ企業だけが残りかねない。そしてそれらハブ企業が、新たに創造される経済価値全体のより多くの部分を獲得する。言わばデジタル版のドミノ倒しが起きるのだ。

一例として筆者は、携帯電話業界を挙げていました。

ちょっと前まではネットワーク効果の乏しい従来の製品市場において、覇権をかけた正面競争が繰り広げられていました。競争はイノベーションと差別化をもたらし、10社前後の有力企業がビジネスモデルから潤沢な利益を得ていました。

ところがiOSとアンドロイドの登場により、勢力図は一変しました。携帯業界はハードウェア重視から、多角的なプラットフォームを基盤したネットワーク構造へと舵を切り始めたからです。この結果、モトローラ、ノキア、ブラックベリーといった企業は携帯電話事業からほぼ撤退し、この業界における価値の大半はグーグルとアップルに抑えられるようになりました。その一方、アプリケーション開発企業など、補完財を提供する企業の大多数が手にする価値は、一般にはけっして大きくないのです。

このようなドミノ効果は、他の業界にも広まり、加速しつつあります。筆者は、「音楽業界はすでにアップル、グーグル、スポティファイの掌中に収まった」と述べています。

「次に強大なハブ企業が登場しそうなのは、どの業界だろうか?」と疑問を投げかけていますが、どこの業界でも起こり得ることです。筆者が主張する通り、ハブ企業は既存の製品のサービスの改良、あるいは値下げといった従来の競争手法を用いるのではなく、ある環境下ですでに大規模化したネットワーク資産をてことして他の産業に参入し、その業界の競争構造を製品中心からネットワーク中心へと「再構築」してしまうのです。

このような形で、今後はあらゆる産業が再構築されていくはずです。

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