【経営コンサルタント022】 

2018年12月 12日(水)

さて、「経営コンサルタントが生き残るために2」に書いた通りですが、独立系の個人コンサルタントが生き残るためには、まず「手持ちの資金」に注目すべきと指摘しました。2,000万円以上のキャッシュがあり、500600万円を損する事態になっても「賭けてみたい!」というのであれば、ビジネス出版し、日経新聞に広告掲載して…というやり方が選択肢にあることをお伝えしました。

また月1回2-3時間だけ訪問して月に20万、30万円も払い続けてくれるようなクラアントを自力で継続的に獲得することはかなり大変であり、多くのコンサルタントが1年、2年と活動を続けながら1件も契約が取れないままキャッシュを燃焼させてしまう現実についてもお伝えしました。

今後の状況はますます厳しくなるはずです。なぜなら顧問などのタイトルを貰って月20万円くらいの給与(週1-2回の出勤)で働く定年退職者が中小企業には増えていくからです。また働き方改革や大企業の副業解禁の動きなどもあり、競争激化によって個人コンサルタントを取り巻く環境が厳しくなる一方だからです。

そういう現実を踏まえ、「経営コンサルタントの仕事はこれだ!」と理想の経営コンサルタント像だけを追い求め、視野を狭めるべきではないこともお伝えしました。

現に私は、企業が見込み客向けに開催するセミナーの講師を務めることが年に何回もあります。複数の自治体事業にも積極的に協力しています。後に説明しますが、私はテーマを絞っており、それに関連した様々な活動の支援を行っているのです。

さらに、活躍できる「場」を絞り込むべきことの重要性をお伝えしました。ご自身の商売を検討する際には資金がスタートとなりますが、最も重要なことはご自身の「活躍できる場の絞り込み」であると私は考えています。

前回のコラムの最後には、活躍できる「場」を決め、そこで小さくても実績を積みながら、目標達成に向けて、ご自身の地位を確立していくことをお伝えしました。

ここで注目すべきキーワードは「実績」です。前回のコラムで実績については、「自身企画の実績」と「他人企画の実績」の2つのタイプがあることを書きました。そして「ターゲットをどう定めるかによって、どこに、どう力を入れるべきかが変わってくる」と述べました。

重要なので繰り返しますが、ターゲットをどう定めるかによって、どこに、どう力を入れるべきかが変わってきます。少し具体的に説明します。

結論から書きますが、ターゲットが個人事業主のような個人であり、しかも彼らの主たる情報収集手段がネットの場合は「自身企画の実績」だけでもOKです。ところが、そうでない場合は「他人企画の実績」の方が遥かに重要であり、評価の対象となります。だから「ターゲットをどう定めるか?」ということが非常に重要であり、それに合わせて実績を積んでいくべきなのです。

ただし、「自身企画の実績」については少し特殊で複雑です。

例えば、「士業・コンサルタント向け」などと謳って「こうやれば儲かります!」式のノウハウをグループ・コンサルティング、●●会などと称して売り込む高額塾の商売が今流行っています。そこに集まってくる人の事業の多くは、1人あるいは23名でやっている零細です。

そのような個人向けのサービスについてはWEB上に様々な情報が溢れています。しかも、よく調査すればわかるのですが、インチキ情報も多く含まれており玉石混交です。

顧客の声、セミナー開催の実績、クライアントの実績数などを偽っている人が多いのです。中には「成功率96.8%」などと何を基準に、何をどう測定したのかわからない意味不明な数字を平然と公表している人がいます。昨日、「ふるさと納税」の偽サイトが多発しているとのニュースが放送されていましたが、ネット上はもう何でもありの世界です。架空の人物まで登場させる輩もいます(→詳しくは「No.3: 理想(架空)人物の登場で自らをカリスマに!」

何はともあれ、個人で事業を展開している経営者の中には、ビジネス情報についてもネット検索に頼っている人が多数います。そういう人がターゲットの場合は、(インチキ情報であっても)ネット上で信用させてしまう演出の上手い・下手が成果に大きく影響するのです。

個人事業主のような個人をターゲットにネットで集客しようとする限り、上に書いたようにネット上での演出の上手い・下手が成果に大きく影響するのですが、情報商材と同じで胡散臭い競合が大勢います。

だから、そこはレッド・オーシャンの中のレッド・オーシャンです。しかも5億、10億円以上もの売上を誇る資金力ある企業もいます。そういう企業ともガチンコ勝負することになります。市場のプレイヤーもよく入れ替わります。だから個人コンサルタントの身では、運良く成功しても長居はできないでしょう。

とにかく私がお伝えしたいことは、競合に劣らぬよう顧客の声、セミナーの開催の実績、クライアントの実績数などを偽って「自身企画の実績」を無理に良く見せようとしても、無駄な努力になりかねないということです。

それに、「やれSEO対策だ!」「Facebookではなく、日本ではLINE@だ!」「コピーライティングを勉強した方が良い!」などと煽られ、大切な資金を搾取されるべきではありません。

試行錯誤しながら、そういう世界に手を染めるは良策ではありません。私がおすすめするのは、活躍できる「場」を絞り込んで、そこで「他人企画の実績」をつくり上げ、その「場」で確たる地位を築くことです。繰り返しますが、資金チェックの次に必要なことは、活躍できる「場」の絞り込みです。

しかし、経理、営業、マーケティング、顧客満足度アップ、新規事業などという専門の打ち出し方では不十分であることは前回のコラムでお伝え済です。

ご自身のブランドを武器に、活躍できる「場」で自身が企画したサービスを提供する一方、複数の会社(他人企画)の業務にも関わることです。そのためには「業界・業種」✕「テーマ」で絞り込むのが良いでしょう。あとはそれを軸に展開すれば良いのです。理由は、改めて説明します。

では、確たる地位を築くための実績とは一体何でしょうか?それには、メディアの実績であり、業界・専門誌等への寄稿であり、講演での登壇、委員、社外取締役のタイトルなどが該当します。そうやって、ある「業界・業種」のある「テーマ」に関して露出することが、次の依頼を呼び込む種となるのです。

例えば、私の場合は講演先で知りった企業の人から「今度、ウチの会社の研修で講師を務めてくれませんか?」と依頼があり、それがキッカケで次のステップ(つまりコンサルティング)に進んで…となりました。そうやってチャンスが広がるのです。

またセミナー講師を務めれば、主催者側があなたを宣伝してくれることになります。チラシを配布し、HPで報告するからです。そこには集客の苦労もありません。業界で存在感のあるイベントの会場で登壇すれば、第一人者として一目置かれるようにもなります。

主催側が立派な団体であれば、その信用があなたに反映され、あなたにも箔が付くことになります。それでまた次の依頼が来るのです。そういうチャンスを活かしながら、ご自身の企画を自然な流れに乗っかって提案することが可能になるのです。

特定テーマで活動することが、実はお金を貰いながら営業のチャンスをいただいていることにもなるのです。

そういう活動を行う方が「唯一無二のサービスを提供しましょう!」などと囁かれて、訳のわからないネーミングをつくり出し、「自身企画の実績」をネット上に公開して売り出すことよりも、遥かに成果が期待できます。唯一無二のサービスをつくりだし、「○○コンサルタント」と名乗ることは勝手ですが、ご自身の存在を市場に知らしめ、見込み客を惹きつけることが大変なんです。

それに「自身企画の実績」についてはインチキ情報を発信している人が多く、「本当か?」と何かと疑われがちです。ネットマーケティング系の情報ばかり見ている人は慣れてしまっているかもしれませんが、そういうものに慣れていない人がみると、「こんなに儲かりました!」などの「顧客の声」についてはなんとも胡散臭く感じるものです。

さて、「活躍できる場を決め、そこで小さくても実績を積みながら、目標達成に向けて、ご自身の地位を確立していく」という意味は、理解できましたでしょうか?

ある「業界・業種」のある「テーマ」に絞り、そこで実績を残し、活躍の場を広げていくのです。活躍の場を広げていく方法は、芸能人・有名人のやり方が参考になります。

例えば、フリーとして活躍しているアナウンサーがレギュラー番組を2本持っているとします。週2日はその番組の仕事が定期的にあります。しかし、その他の日は何をやっているでしょうか? 遊んでいる? いいえ、講演、○○トークショーの司会、〇〇スクールの講師などです。

つまり、私がお伝えしたいことは、ご自身が活躍できる特定のテーマを武器に各方面に活動を広げながらチャンスを掴めるようにすれば良いのです。もっと具体的に表現すると、経営コンサルティングというサービスについては、活動する際のメニューの1つとして捉えていれば良いのです。

特定テーマで様々な活動を行うことによって、あなたにはご自身から提案できるチャンスが訪れるはずです。そのタイミングにご自身で企画したコンサルティングを自然な流れで案内すれば良いのです。

ある「業界・業種」のある「テーマ」に絞り、そこで実績を残しながら、他人企画に便乗すると同時に、チャンスを見計らってご自身の企画を提案するのです。

もちろん、ご自身でコンサルティングサービスをパッケージ化することも可能です。それを「計8回訪問で200万円です!」などと売り出すことは結構であり、私も似たようなメニューを持っています。

ところが、そのご自身のサービスを自分の力だけで広告を出して、セミナーに誘導して、…という方法で集客しようとすると大変なのです。コンサルティング契約どころかセミナー集客の時点で苦労を強いられるはずです。

理想の経営コンサルタント像を追い求め、ご自身の力だけで売り出そうとする限り、売上がゼロのまま1年、2年と経過する人が少なくありません。事実、ホームページ上では「自身企画の実績」を良く見せているのですが、「他人企画の実績」が殆んどなく、活躍の場がない人が少なくないのです。

確かに、1日2時間の訪問で20万円を払ってくれる企業が15社あれば、月に300万円の売上が計上されます。同様に、110万円の料金で高額塾のセミナーに10人(社)集めることができれば、わずか1日で100万円もの売上となります。それが本当に実現するのであれば素晴らしいことです。ご自身の好きな企画を案内し、言い値で人が集まることは理想です。

ところが、10人チャレンジすれば、9人はそこにはたどり着けないはずです。それに、そういうやり方で上手くやっている人の殆どは、個人を対象に事業展開しています。

上手くいかなければ試行錯誤するばかり。そして「こうやれば儲かる!」式の高額塾などに誘導されてしまい、あなたの出費が彼らの懐をあたためるだけ。しかも、行ってみたら次に…今度は…そして…と財布の中身を空っぽにさせられてしまうかもしれません。

私たちは何かとデッカイ金額に誘惑されがちです。でも「経営コンサルタントが生き残るために2」に書いた通り、現実を直視しましょう。

繰り返しますが、ご自身で「○○コンサルタント」などと名乗って、ご自身のサービスをパッケージ化することは大いに結構です。しかし、その商品を自分の力だけで売り出すことはかなり大変です。FacebookやLINE@の良し悪しではないのです。

あなたは、大金を投入し、ビジネス出版し、書籍を日経新聞に広告展開し続けるリスクを負えますか?

Yes!」なら大金を投入することで一気に躍進できる可能性があります。でも「No!」ならば、先に述べた通り、まずは手持ちの限られた資金を枯渇させないよう注意を払いながら、ご自身をブレークさせていく戦略が必要なのです。

さて、勝てる「場」を絞るということをお伝えしましたが、私の場合は介護ロボットがそれに該当するのです。つまり業界・業種は介護業界、テーマはロボットの導入・活用となります。下記のサイトに実績の一部を掲載していますが、私は講演にお呼ばれされる機会が非常に多いのです。

https://www.kaigo-robot.jp/lecture

また私は、先に述べた通り、企業が見込み客向けに開催するセミナーの講師を務めることも年に何回もあるし、複数の自治体事業にも積極的に協力しているし、委員も務めています。「新事業を立ち上げるので協力して欲しい!」という話も舞い込んできます。

そして「戦略プロセス経営実践会」の活動については、介護ロボットの実績をベースに広げたものとなります。「売り手(製造業)と買い手(非製造業)をつなぐ」がテーマですが、それは介護ロボット経営実践会の活動を展開させたものです。

かなり長くなってきたので、最後にいくつかのテーマを片付けます。

まず「なぜ業界・業種を絞るべきか?」についてお伝えします。

それは、DMなどによるアプローチが容易になるからです。ターゲットが業種・業界別に整理されていれば、「○○しませんか?」と相手に近づいていくアプローチも容易になります。

しかし、業界・業種が絞れていなければ、狙いが定まっていないので、マス広告を出して見込み客から反応を待つ他ありません。これは非常にコストが掛かることです。

また潜在顧客から見て「関連性」を強く意識してもらいやすくなります。さらに競合が少なくなり、勝てる確率が高くなります。

また「WEBマーケティングは使えるのか?」についてですが、よく目にする次のようなアプローチは個人向けです。

  1. 広告出稿(Facebookなど)
  2. メルアド集め(Line@登録など)
  3. 情報発信
  4. セミナー誘導
  5. セミナー当日にクロージング

個人事業主のような人をターゲットにする場合はOKです。

自分の企画に、自分の言い値で、自分の好きなタイミングに、希望通りの人数を集客できれば最高です。でも、それを狙っても殆どの人はまるで成功しない。そういう現実を踏まえ、本日のコラムのような提案をしたのです。次回はこちらから。

以上、3回に渡り「経営コンサルタントが生き残るために」と題してお届けしました。

まとめると、活躍できる「場」を見つけ、そこで活動しながら、はじめは小さくても実績を残していくことです。そうすれば、様々なルートを通じてあなたを見つけ出した人から声が掛かるようになります。そして自身から提案できる機会が増えます。

その結果、余計なコストを掛けることもなく、自身企画の経営コンサルティングを提案し、受け入れてもらえる環境が整うのです。

一方、自身で全てを企画し、自身で値付けした経営コンサルティングは理想の姿です。しかし、現実を直視すべきです。上手くいかない人が圧倒的に多いのです。

目先の大金を追いかけていると、個人事業主を対象にした変なサービスに飛びついてしまうだけでしょう。ポケットの中身を空にするのではなく、目を覚ましましょう。

大金を投入し、出版→広告の賭けに出て上手くいった一部を除くと、殆どの個人コンサルタントは自身の力だけでは集客に非常に苦労します。

その結果、他人企画の実績が殆どないまま、自身を良く見せることばかりに躍起になるかもしれません。それは顧客の声かもしれないし、集客できずに開催できなかったセミナーの開催実績かもしれません。何もかも試行錯誤するばかりで、手持ちの資金を減らすばかり。何も実を結ぶことがないのです。

これは私の反省でもあるのですが、ご自身の事業の戦略を間違えてしまうと、小手先のテクニックに翻弄されるだけで、大変な時間とコストのロスになってしまうということです。

なお、こちらのサービスをご利用いただいた方には、それ以上のことについても詳しくお話いたします。

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