【経営コンサルタント016】 

2018年9月 12日(水)

「ビジネスモデル別に経営コンサルタントをチェック2」と題したコラムでは、私が調べ上げた限り、個人でやっている独立系コンサルタントについては、次の通り8つのビジネスモデルに分類することができることをお伝えしました。

  1. 会員制ビジネス・高額塾型
  2. プロジェクト・派遣型
  3. 公的機関常駐・依存型
  4. 補助・助成金依存型
  5. ブローカー型
  6. 人づて依存の何でも屋型
  7. 純粋なコンサル業型
  8. セミナー講師型

前回は1の「会員制ビジネス・高額塾型」と2の「プロジェクト・派遣型」について説明しましたが、今回も少し追加しましょう。

「会員制ビジネス・高額塾型」は、グループコンサルティング、○○塾、○○研修会などの名称でコンサルティングが実施されます。主催側が「コンサルティング」と主張すればコンサルティングになりますが、いわゆる計5-8回の研修会・合同勉強会とほぼ同じです。

主な集客方法はネットの駆使です。何かしらのオファーを与えて、見込み客のメルアドを獲得することから始まります。そのことを業界ではオプト・インなどと呼ぶことがあります。

その後、獲得したメルアドにメールで情報発信しながら関係づくりと同時に売り込みが始まります。最近ではメールに加え、LINEを使う人が増えてきました。そして3,000円~5,000円程度のセミナーへ誘導します。

場合によってはセミナーが「無料」になることも。「友人を1人までなら連れて来てもOK!」なとど案内する人もいます。セミナーの参加者は5-10名くらいのケースが多いようです。30名くらいを集める人(コンサルタント)もいます。

ちなみに、初回のセミナーからいきなり3万円以上の高額を請求するような人はなかなか上手く集客できないようです。無料オファーですら反応しなくなってきている時代なので、いきなり万単位の料金でセミナー開催を案内してもなかなか集客できない人が多いのです。

セミナー当日は、役に立つちょっとした情報提供と同時に5~8回程度の研修会・合同勉強会を案内してきます。情報の内容が値段に対して充実している人もいますが、薄っぺらな内容だけの人も少なくないようです。

5~8回程度の研修会・合同勉強会の価格は30万円~120万円ほど。販売手法はTV通販と同じです。予め金額を明示しておきながら、セミナーの最後になってから、「嬉しいお知らせがあります!」「本日、お申込みの人に限り○○万円引きです!」などと10万円以上もの割引価格を告げてきたりするのです。

TV通販との違いは、セミナーに参加するまで高額塾の費用についてはわからないという点です。当日になってから価格を知らされることになります。そしてセミナーの最後に「本日、お申込みの人に限り!」と割引してくるのです。

そういう演出が初めから周到に準備されているのです。だから「128万円から98万円」になったり、「48万円が35万円」になったりします。また割引後の金額を参加者に敢えて紙に書かせる人もいます。そうやって見込み客にお得感を実感してもらうわけです。

参加者の感情が高まったところで、一気に申し込みさせてしまおうとする戦術です。

ちなみに、そこそこ規模の大きな企業の場合は、起案書をまわして社内で承認を得る手続きが必要なので、セミナー当日に申し込ませるわけにはいかないはずです。だから、この手口ではなかなか通用しないのです。

しかし、「会員制ビジネス・高額塾型」の主なターゲットは個人事業主のような人ばかり。自分で即決できる人ばかりです。そういう人が集まるからこそ、「本日に限り…」と煽って申し込みさせてしまうのです。

ところが、セミナーが終了すると、急に静かになります。その後は、一斉送信のメール(メルマガ)が飛んでくる程度になります。つまり、コンサルタント側にとってはセミナー開催の当日が勝負なのです。セミナー当日にTV通販の番組を観てもらっているのと同じです。

また、「会員制ビジネス・高額塾型」については、前回のコラムの中でかなり詳しく説明しましたが、いくつか重要なことを書き忘れました。それは、売上増を狙い、獲得した会員から次なるキャッシュを得る仕組みを導入している点です。

あまり詳しく書いてしまうと「事例から学ぶ集客の知恵」に登録された方に申し訳ないので少しだけお知らせしますが、例えば会員同士のマッチングのお手伝いがあります。

それは会員が他の会員に売り込みするチャンスを与えるのですが、実は…ということで裏があるのです。そのため、親睦会、フェイスブックのグループなど様々な手段で会員同士を組織化させようとします。

 「会員制ビジネス・高額塾型」と書いたのは、そのように高額塾を開催するだけではなく、会員を組織化させ、それをフルに利用しながら次なる課金の機会を狙う仕組みが、まさに会員制ビジネスだからです。つまり、彼らの狙いは高額なコンサルティング(勉強会?)の提供だけではないのです。

「プロジェクト・派遣型」については、「ビジネスモデル別に経営コンサルタントをチェック2」で書いた通りであり、特に面白いことは何もありません。人様のビジネス案件に臨時の助っ人として入り込む働き方にすぎないからです。

「会員制ビジネス・高額塾型」と比べると、「種も仕掛けもございません」ということになります。人様の案件を見つけ出し、そこに仲間として入れてもらうやり方です。

「公的機関常駐・依存型」については過去のコラムの中で何度か書きましたが改めて説明します。

「公的機関常駐・依存型」については、まず常駐する方法があります。だから常駐型と書きました。主な常駐先は都道府県や市町村の産業振興部門の下部組織である公的機関です。公益財団法人□□などという法人名を名乗っています。

そこで「コーディネーター」などのタイトルをもらい週に2日~4日勤務(常駐)する働き方が一般的です。いわゆるアルバイトと同じです。ただし、雇用契約はなく、(会社ではなく)個人に謝金が支払われます。

有名なのは「よろず支援拠点」です。これは、国が全国に設置する、中小企業・小規模事業者の皆様のための経営相談所です。全都道府県に設置されています。そこで管轄地域内の事業者から寄せられる様々な相談に対応することになります。タダでトコトン相談できるのです。まさに公費で費用が賄われる経営相談員です。

 

また、常駐はしませんが、仕事案件の殆どを公的機関に依存している人がいます。例えば、商工会議所や商工会が主催する起業家向けの「○○経営講座」の講師役などです。似たような講座が他の地域でも開催されるので、地元だけではなく遠方の商工会議所や商工会からも依頼がくるようになります。

常駐型と同じように単価は低いのですが、あちこちから依頼が来るようになれば、それで何とかやっていかれるのです。

なお、常駐型・依存型どちららも同じですが、サービスを直接受ける者(企業)から集めるお金は0円、あるいは課金してもせいぜい1万円ほどです。全額あるいは費用の大半は公費で賄われるのです。

 

とにかく、先に詳しく説明した「会員制ビジネス・高額塾型」とは、あらゆる面で大きく異なります。自ら集客する苦労からは解放されますが、経営コンサルタントとしては非常に低い単価で仕事をすることになります。

だから「経営コンサルタントの見分け方2」で書いた通り、毎日何かしらの仕事が入ったとしても、年間売上は600万円程度で頭打ちとなります。

ただし、公的機関の看板を背負っているので、「会員制ビジネス・高額塾型」のような「インチキな人」と見られることはないはずです。

  • 常駐型の1日の謝金は12.5万円程度。サラリーマンと同じ感覚で勤務すれば、勤務日数に応じてお金が毎月、確実に支払われる。だから集客活動にてんやわんやする心配が無くなる。
  • 地域や分野によって異なるが、定年退職後の年配者が多く集まる。
  • 法人対法人の契約ではなく、個人に対して謝金として支払われるケースが殆ど。

集客という概念はなく職探しに近い。多くは公的機関の関係者からの紹介・推薦で決まるが、ポジションに空きがあると公募することもある。しかし、公募期間が短いため、知らない間に締切日が過ぎてしまいがち。

地域の中小企業・小規模事業者

「公的機関常駐・依存型」の対極が「会員制ビジネス・高額塾型」と言えるのではないでしょうか? 

次回はこちらから。

さて、いかがでしたでしょうか?

前回に続き今回も「会員制ビジネス・高額塾型」の説明が長くなりました。理由は、新しいスタイルだからです。

「年配のおじさんが企業を個別訪問する!」という旧来の経営コンサルティングのスタイルに対し、SNS時代だからこそ台頭してきたのが「会員制ビジネス・高額塾型」なのです。

さらに詳しいことは「事例から学ぶ集客の知恵」の中で説明しています。

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